波乱の主役は苦笑いを浮かべるだけだった。優勝戦でカドから冷静にまくり差しを決めた前本泰和(45=広島)は、表彰式で「展開一本でした」と白い歯を浮かべた。

 ピット離れで1号艇武富智亮がまさかの立ち遅れ。「初めて鳴いた」と武富は嘆いた。2号艇の新田雄史がすかさずインを奪取。前本は「これはチャンスだと思った」と振り返った。1Mは新田と3コースからまくって出た武富が大競りに。絶好の展開を前本がものにした。

 「出足を引き出すのに苦労した」と、決して良機とはいえない25号機に苦戦しながらも、しっかり仕上げた。G1の優勝は4回目。「今年もグランプリに出たい。選手になったからには1度は(黄金ヘルメットを)かぶりたい。最高の滑り出しになりました」。運も味方につけた前本が、18年の好スタートを切った。【浦田由紀夫】