久保の最後のFKしか印象に残らない試合だ。約1年ぶりの代表戦。収穫は、日本代表がピッチに立った、くらいじゃないかな。1年前とメンバーが変わらないし、詰まり気味の試合展開も昨年と同じだ。過去の苦い記憶がよみがえる90分だった。

DFラインは、負傷欠場の長友以外は不動のメンバーで安定感はあった。気になるのは攻撃陣だ。いつものトップ下3人でスタートして、詰まったら後半は2シャドーに変えた。試す意味もあったのだろうが、ポジションをいじりすぎた。やってる選手は「このチームで俺の正ポジションはどこ?」って疑問を抱いたと思うよ。

1年ぶりの試合。メンバーが変わらないんだから、森保監督就任2年で、すでにできあがったチームといえる。それなら1年ぶりの試合は、コロコロ変えるべきではなかった。攻撃陣をいろいろ組み合わせてオプションを増やすのは、2戦目以降にやればいい。詰まったり、苦しくても「これが森保ジャパンだ」というところを示すべきだった。

揺るぎない信頼のあるレギュラーがいて、展開を変えるオプションとしてサブが充実しているチームは強い。実りのあるチーム内競争もできる。今の日本代表はどうか。トップ下右は堂安でいいのか? 中央は南野で大丈夫? 左は原口で決まり? どれも疑問符がつく。おそらくこの3人は、後半の途中からは「オレはいつ代えられるんだろう」の疑問を頭に置きながらプレーしたはずだよ。

勝ちたい気持ちは分かる。勝ちにいくのは当然だ。しかし森保監督は、1年ぶりの象徴的な一戦を、普段と変わらない戦いで終えてしまったね。レギュラーには信頼感を、サブには闘志をもたらすことができる大事な試合だったのにな。実にもったいないね。(日刊スポーツ評論家)

日本対カメルーン 前半、酒井(右)に笑顔を見せる森保監督(撮影・PNP)
日本対カメルーン 前半、酒井(右)に笑顔を見せる森保監督(撮影・PNP)
日本対カメルーン 後半、ドリブルで突破を図る久保(右)(撮影・PNP)
日本対カメルーン 後半、ドリブルで突破を図る久保(右)(撮影・PNP)