日本代表DF植田直通(23=鹿島アントラーズ)が、15年1月のアジア杯初招集から念願の国際Aマッチデビューを果たした。

 前半4分、いきなり好機を演出。本職はセンターバック(CB)だが右サイドバック(SB)で先発し、FW伊東へピタリと合わせる縦パスを入れた。「できることを思い切ってやろうと思っていた」。ハリルホジッチ監督から両頬を包まれて送り出され、自然と緊張はなかった。

 遠く長い道のりだった。過去には永田充が03年の初招集から7年後にデビューするなど長期ブランクの例はあるが、植田の3年も長かった。14試合で控え、ベンチ外のスタンド観戦は3試合。だが、得たのは悔しさだけではない。

 「早く出たい気持ちはあったけど、ベンチで右SBの動きを目の前で見ていたから、プラスになった。無駄なことは1つもなかった」

 経験が力になった。昨年は鹿島でJ1優勝、リオ五輪で世界と戦い、クラブW杯でRマドリードとも対戦した。186センチの長身を生かした対人の強さをより鍛え、今季も29試合3得点。指揮官は「しっかりとしたプレーを見せてくれた」と及第点を与えた。

 武器の1つであるヘディングを鍛えた熊本・大津高のグラウンドには、3枚の幕が掲げられている。同高OBで06年W杯ドイツ大会に出場したFW巻、今大会で植田より先にCBで出場したDF谷口、そして植田の写真の幕。代表のピッチを経験した先輩に並び、新たな出発点に立った。【小杉舞】