東京五輪世代のU-22(22歳以下)日本代表が16日、ブラジル遠征を終えて成田空港へ帰国した。

14日(日本時間15日)の同ブラジル代表との国際親善試合では3-2の金星。鮮やかなミドルシュート2発で勝利に大きく貢献したMF田中碧(21=川崎フロンターレ)は「普段は(ミドルは)打たない派です。自分でもびっくりするいいシュートがいった」と振り返った。

殊勲の2ゴールにも、表情に満足はなかった。「それ以外はあまりよくなかった。世界のトップとは大きな差があると感じた」。勝利の喜び以上に、率直な感覚を言葉にした。

PK2本による失点で抑えたものの、90分を通してブラジルに主導権を握られる時間は確かに長かった。「ボランチとしてチームをどう進めていくか、自分のプレーで流れを作らないといけない。そこが足りない」。途中から出てきたスペイン1部レアル・マドリードのFWロドリゴらと対峙(たいじ)して「かなわない相手とは思わない」と手応えもあったからこそ、自分に手厳しかった。

五輪代表とA代表を兼任する森保一監督がよく口にする言葉がある。「A代表の舞台で活躍できるような選手が五輪に出場する、そうでないとメダル獲得は難しい」。その言葉を五輪世代の田中も理解している。「A代表や、世界のトップレベルで戦うことが夢。ここ(五輪)がゴールでもなんでもない」。自国開催の五輪は大切だが、サッカー選手としてはあくまで成長の過程。田中の力強い言葉に思いがにじんだ。

試合後は約1時間足らずであわただしく帰国の途についた。飛行機内ですぐに自身のプレー映像を確認した田中。所属する川崎フロンターレは、不在の間にルヴァン杯で決勝に駒を進めた。チームに戻れば、また激しいレギュラー争いが待っている。「試合に出続けるチャンスでもあるし、優勝して高いパフォーマンスを見せたい」と、さらなるレベルアップを誓った。