東京オリンピック(五輪)世代のU-22日本代表がU-22コロンビア代表に0-2で完敗した。A代表組のMF堂安律(21=PSV)とMF久保建英(18=マジョルカ)がそろって先発したが不発。A代表と兼任する森保一監督(51)が同代表を国内で初めて指揮したが、最後まで打開できなかった。残り約8カ月となった五輪本番に向けて不安を残した。

試合を終えた久保の言葉がチームの今を物語った。「強いてよかった点を挙げるとすれば、負けたことで危機感が生まれたと思うし、不安も出てきたと思います」。森保監督ゆかりの地、広島で堂安と初めてそろって先発も得点はならず。2度あった直接FKも不発だった。堂安も「危機感しかない」と、久保と同じ言葉を口にした。

コロンビアのサイド攻撃に手を焼き、左右のウイングバックの攻め上がりが特徴の3バックが機能しなかった。奪い合いで後手に回ったことで実質5バックになり、攻撃にかける人数が減った。堂安は「前を向いた時にタケ(久保)と綺世くん(上田)しか選択肢がなかった」。ゴールは遠ざかった。森保監督も「1対1の局面で上回られた。もっと上げないといけない」と厳しい表情。指揮官が常に口にする、球際で戦う部分で課題を露呈した。

森保監督は同時期にワールドカップ(W杯)アジア2次予選などA代表を率いて活動中で、合間を縫って試合前日に広島入りしたばかり。試合後には選手に「我々が持っている目標(金メダル)が私だけのものなのか、チームで共有しているのか」と厳しい言葉を投げかけた。兼任とはいえA代表が優先される中で、U-22代表の現場に立てる機会は少ない。今後、再び世代別代表に久保や堂安を招集できるかも未知数だ。貴重な場だった今回、残ったのは危機感。1人で2チームを動かす難しさが浮き彫りとなった。

久保は言った。「東京五輪だからとか関係なく、出るからには優勝しかない。今日の試合のあとでも、自分は言う。本番に選ばれればですけど『あの時負けておいてよかった』と思えればいい」。残り約8カ月に迫った本大会。簡単ではないと分かった融合がどこまで進むか、この敗戦を糧にしたい。【岡崎悠利】