国際親善試合・U-22ジャマイカ戦(28日、トラスタ)に臨むU-22日本代表合宿が24日、森保一監督(51)の故郷・長崎市内でスタートした。11月の広島でのコロンビア戦に続く被爆地での試合。指揮官は故郷への恩返しに加え、平和の祭典である東京オリンピック(五輪)へギアを上げるべく、年内最後の試合を勝利で飾ることを誓った。

故郷長崎での合宿は特別だった。練習前、地元の土井首小、中学のサッカー部の生徒たちが激励に訪れた。「サッカーを楽しんで頑張って」と目を細めながらエールを交換した。練習会場のスタンドには父の洋記さんの姿もあった。「故郷で代表の活動と試合ができることを幸せに思っています。恩返しにつながる試合をしたい」と“凱旋勝利”を胸に刻んだ。

11月には現役時代プレーし、引退後は監督も務めた広島の地でU-22コロンビア戦の指揮を執った。同じ被爆地での試合に「平和の祭典である五輪に向かうチームが、世界に2つしかない被爆地で試合をするという意義は非常に大きい」と長崎での試合の重みを言葉にした。広島では合宿中に、チームで平和記念公園を訪れ慰霊碑に献花したが、長崎でも平和公園を訪れる予定。「平和だからサッカーができる、サッカーが見られる。平和をかみしめて一緒の時間を過ごしてもらえれば」とジャマイカ戦の価値を強調した。

韓国であった東アジアE-1選手権に出場した五輪世代は合宿に参加していない。来年1月にはタイ遠征が控える。今回のメンバーにとって、年内最終戦は東京五輪代表の生き残りへの大事なアピール機会となる。森保監督は「序列が変わるのが、プロの世界であり競争の世界。選手の力を常にニュートラルに見ながら成長を見ていきたい」。勝利はもちろんのこと、故郷で平和の地での熱いサバイバルに期待を込めた。【岩田千代巳】