【デュッセルドルフ(ドイツ)21日=岡崎悠利】サッカー日本代表(FIFAランク24位)は23日、米国代表(同14位)との国際親善試合に臨む。11月開幕のW杯カタール大会に向けた最後の活動で、貴重な実戦。DF吉田麻也主将(34=シャルケ)は先制されるともろいこと、共通認識の不足など日本代表が抱える課題を吐露し、危機感を漂わせた。米国戦と27日のエクアドル戦(同44位)で、本大会での戦い方を確立させ、チームの結束を図る。

デュッセルドルフの空を連日覆っていた雲が晴れ、あたたかい光をそそぐ太陽がやや傾いた。穏やかな天候とは裏腹に、非公開練習を終えた吉田主将のまなざしは厳しかった。直近で集まった6月の活動では、ホームでチュニジアに0-3と完敗。失点後の立て直しについて聞かれると「結構深い問題」と腕を組んだ。

6月のチュニジア戦も含め、先制されると勝てない。19年1月のアジア杯1次リーグのウズベキスタン戦を最後に、被先制試合は11戦勝ちなし。昨年9月のW杯アジア最終予選のオマーン戦、10月のサウジアラビア戦…。いずれも先制され、盛り返すことができなかった。「負けているときに、どこまでブロックを敷いて、どこまでプレスをかけるか、リスクを負うか。そこを定めなければ。しっかりと共通認識を持っていく必要がある」。

うまくいかない展開を打開するための共通認識。完敗した6月のチュニジア戦後、三笘はチームとしての決まり事、約束事が不足していると指摘した。今回の活動期間中も久保らとともに言及している。約2カ月後に迫る本大会。今回の活動で課題を克服する必要がある。

すでに話し合いはしている。「(試合で)勝っていたら、負けていたらこう、(本大会では)状況によって2戦目、3戦目はこう、と共通意識を持たないと、ばらばらになる可能性がある」。攻撃陣と守備陣でも、試合中に考え方に相違は出る。「そこをすり合わせて、みんなが同じ方向を向けるようにすることも、経験ある選手がやるべき」と、自身3度目のW杯を目前にした主将は責任感を口にした。

今回対戦する米国、27日に対戦するエクアドルはともにW杯出場国。思い通りに試合を進められない時間帯も出てくるはず。日本代表が抱える課題を克服するには十分な相手だ。「話し合ったことが、いくつピッチで出せるかだと思う」。本大会で待ち受ける強豪のドイツ、スペイン戦に向け、確実な前進が求められる連戦になる。

 

◆森保ジャパンの被先制試合 通算2勝1分け10敗。19年のアジア杯では1次リーグの2試合で先制点を許しながらも逆転勝利を収める勝負強さを見せたが、その後は1分け10敗の11戦勝ちなし。その1分けも今年3月29日のW杯アジア最終予選のベトナム戦で、予選敗退が決まっていたチームを相手に勝ちきることができなかった。一方、先制した試合は36勝3分けの39戦無敗。他に0-0が3試合ある。

 

◆最近の主な日本代表監督の被先制試合 10~14年のザッケローニ監督時代は通算5勝6分け11敗。14年W杯ブラジル大会の前までは逆境をはね返す力強さを見せる試合も多く、13年11月16日の親善試合で強豪オランダに2点のビハインドを追いついて2-2で引き分け。続く同19日の親善試合ベルギー戦でも3-2と逆転勝利を収めた。15年から前回の18年W杯ロシア大会の直前まで指揮したハリルホジッチ監督時代は被先制試合で0勝5分け4敗。