高度な「ジャム・セッション」にアウェーまで駆けつけたサポーターが酔いしれた。清水戦。浦和は3~6枚と、場面ごとに最終ラインの守備者数を変えて守った。そしてスムーズにカウンターに移ると、相手の4バックの外側を狙ったサイドチェンジから、面白いようにゴールを奪った。
最終ラインとボランチを行き来しつつ、守備を統率したMF阿部勇樹(34)は「頭を使ったけど、楽しかった」と満足げ。DF槙野を出場停止で欠いたこともあり、先発の平均身長では清水を2・5センチ下回った。そこで阿部と宇賀神は、常に声を掛け合い“即興演奏”で対応した。
最終ラインだけで守り切れれば、阿部はボランチに上がる。負荷が大きいとみれば、最終ラインに入り守備を補強する。同様にMF梅崎、関根の両翼にも声をかけ、必要に応じて守備時に最終ラインの補強、あるいはボランチの補強と、臨機応変に動かした。
守備に無駄に人を割かないことで、カウンター攻撃の威力もアップした。4-4-2や3-6-1といった数字では表せない、即興システム。そもそもこのやり方自体「即興」だった。選手たちがペトロビッチ監督から、前日まで準備していた3-6-1システムを使わないと告げられたのは、清水戦当日午前だった。
阿部は「ナビスコ杯の新潟戦で4バックをやって、手応えはあった。自分はこういうスタイルでずっとやってきてますから」と胸を張った。ポリバレント(多様性)を重視した元日本代表オシム監督の申し子。エコパ・ナイトの華麗な即興演奏は、阿部あってのものだった。【塩畑大輔】



