G大阪ユースの宮本恒靖新監督(39)が、公式戦初戦を白星スタートさせた。前半4分、FW佐藤倭(やまと、17)が右クロスを右足で合わせて先制。後半26分にはFW食野(めしの)亮太郎(17)が決めて突き放した。

 元日本代表DFで主将の宮本監督は「開幕戦で少し硬かった。立ち上がり早く点を取れて落ち着いたと思ったが、思うような試合運びができなかった。でも90分間集中してできた」と評した。

 今季から就任し、1月に始動した。最初のミーティング。指揮官の第一声は「宮本流の育成方針」だった。

 「(現役時代、日本代表の)トルシエ監督の時は戦術がハッキリしていた。でもジーコ監督はあまり戦術がなかった。日本人は自由にやれ、と言われたらなかなかできない。自分で考える力が弱い。だから考えて行動して欲しい。自分たちで考えたことなら反抗してきてもいい」

 宮本監督は「頭の中の処理速度を速くすること。速くポジションを取れば有利に進められる。ボールを持たないところで何ができるか考えて欲しい」と説明。熱い言葉は選手の心にスッと響いた。一気に親しみやすい監督になった。主将の食野は「ツネさんは練習中でも入ってくれる。対戦することもあって、タックルを受けたりする。『これが世界レベルのタックルか!』ってなります。すごくコミュニケーションを取ってくれる」とニッコリ。選手から「ツネさん」と呼ばれるほど慕われている。

 目標は昨季超えだ。今季トップに昇格し、既にJ1デビューも果たしているMF堂安やDF初瀬らが在籍した昨年のチームは、クラブ史上初めて西地区王者に輝いた。惜しくもチャンピオンシップで東地区王者の鹿島ユースに敗れたが、誇れる成績を残した。指揮官は「選手は『去年以上の成績を』と意気込んでいる」。食野も「取れるタイトルは全部取りたい」と目標を定めた。狙うは日本一。G大阪ユースはまだ走り始めたばかりだ。