北海道コンサドーレ札幌がクラブ初の国内三大タイトル獲得に王手をかけた。ガンバ大阪に1-0の完封勝利を挙げ決勝進出を決めた。

後半31分、MF鈴木武蔵(25)が決勝ゴールを決め、同杯7得点目でランキング単独首位に立った。4日リーグ戦、9日準決勝第1戦と2連敗していた相手から、最後にファイナリストの座を勝ち取った。

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ファイナルだ。札幌が決勝進出だ。ミハイロ・ペトロビッチ監督(61)を中心に広がる歓喜の輪、選手同士でハイタッチでたたえ合う姿。ピッチにはDF福森が倒れ込み、じっと天井を見上げている。「両足がつっていたのと、うるっときたのもあった。まだ決勝はあるけど、ここまでやってきて良かったなと思い、力が抜けた」。クラブの歴史を変えるために絶対に勝たなければならない90分、走り、戦い抜いた末に、勝利をもたらした。

同じ相手との3連戦で見せたのは成長と結束。初戦で出ばなをくじかれた。試合中、ピッチ上の選手が自分たちで立ち直せず、今季ワースト5失点。その後、選手同士で練習後に青空ミーティングを行う姿が増えた。もう1度、共有を図った。決勝への挑戦となる2戦目も、試合終了間際で勝ち越し点を奪われる惜敗。内容は上向いていても、勝てない。

勝つために必要なのは-。ペトロビッチ監督は試合2日前の11日、急きょ選手を集めて約1時間、語り始めた。「コンサドーレでプレーできることの喜びを感じろ」。決戦直前、戦術の確認ではなく、精神論だった。MF荒野は「本当にミシャっていい監督だなと思った。あの人のもとで早くやりたかったし、今できていることを幸せに感じる」と感動。この10日間で高まったのは、チームの一体感だった。

勝利後のロッカールーム。ペトロビッチ監督が訪れた。「今日はよくやってくれた」と選手をたたえた。福森は「初めて。それくらいミシャ的にも気分が良かったのだと思う」。幸せな空気に包まれた。しかし指揮官はすでに先の戦いに目線を送る。18日リーグ戦セレッソ大阪戦へ向けた練習日程の決定を、選手に委ねた。

初優勝をかけた決勝は、その後の26日。決勝ゴールの鈴木は、きっぱり言った。「優勝してコンサドーレの歴史を変えたい」。監督就任1年目の昨季キャンプ中、初めてのチーム会食で「タイトルを取るぞ」と宣言した時、選手は誰もが非現実的だと感じ、驚いた。今は全員が本気で狙っている。【保坂果那】

○…得点源のFWロペスが欠場した。試合前はルヴァン杯6ゴールで鈴木と並ぶ得点ランキングトップに立っていたが、ベンチを外れた。試合会場に姿を見せると、左膝を指さしながら「ちょっと痛い。昨日はすごく痛かった」と、顔をしかめていた。前日練習は最後まで参加し、居残りでPK練習も行っていた。