静岡学園の攻撃陣が大一番で躍動した。富士市立に6-1で大勝。決勝過去最多タイとなる6得点を挙げ、5年ぶり12度目の優勝を飾った。

全国高校サッカー選手権(12月30日開幕)の組み合わせ抽選会は、18日に都内で行われる。

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静岡学園は守備の安定感も光った。今大会4試合で1失点。決勝でFKを直接決められたものの、流れの中からの失点は最後まで許さなかった。

決勝は、個人技が持ち味のチーム同士の対戦となり、戦前は両軍の攻撃が注目されていた。だが、勝敗を分けたのは守備力の差だった。出足の鋭い守備で、ことごとく相手ボールを奪取。DF阿部健人主将(3年)は「(静学は)ボールを持ってこそ生きる。いかに取り返すかを重視しました」。自陣に深く攻め込まれる前に、相手からボールを奪い、強力な両サイドからの攻撃を続けた。

毎年夏過ぎまで、徹底的に個人技を鍛え上げるのがチームの方針だ。9月のU-18プリンスリーグ東海の藤枝東戦(2-0)終了後、守備のトレーニングに着手。7対7のミニゲームなどで、攻守の切り替えの速さや、球際の強さを植え付けた。川口修監督(46)は「例年と比べて、技術で劣る分、今年は守りも強いチームになった。誰も緩いプレーをすることなく、戦ってくれた」とたたえた。阿部も「練習を繰り返して、もう体に染み付いた。奪われた後、自然と体が動くようになっている」と胸を張った。

伝統の高い攻撃力に加え、堅い守備も全国大会で披露する。「1戦1戦を集中して戦う。大舞台で力を出すには、メンタルの強さも大事になってくる」。頼れる主将が、最終ラインからチームを引き締める。【古地真隆】

○…静岡学園には負けられない理由があった。DF中谷颯辰(そうしん)と、MF草柳祐介(ともに3年)が、大学受験のため不在。普段サイドバックのDF田辺秀斗(2年)が、中谷の代わりにセンターバックを務めた。“緊急事態”にも冷静に対応。相手の攻撃の目を何度も摘んだ。「先輩からアドバイスをもらって、1週間準備してきた。いい守りができた」と胸をなで下ろしていた。