Jリーグのある日常が戻ってくる。6月27日にJ3とJ2が、7月4日にJ1が、それぞれ開幕、再開することが29日、Jリーグ臨時実行委員会で決まった。

当面は無観客で実施し、7月10日からの観客動員を目指す。また全56クラブの選手やスタッフ、審判を対象に、2週間に1度、PCR検査を実施することも決定。万全の対策を講じて、Jリーグが再び動きだす。

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Jリーグの中断決定から約3カ月、ついに出口が見えた。これまで何度も再開、開幕のメドを立ててきたが、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、4月頭からは白紙となっていた。会議後にウェブで会見した村井チェアマンは、再開および開幕日決定の報告と同時に「本日大きく確認したのは、選手の安全、健康管理を万全の体制でしていくこと」と強調した。

その目玉はPCR検査の実施だ。ブンデスリーガでは再開にあたり検査態勢が整えられていたが、検査数の少ない日本では難しいものと考えられていた。ところがJリーグは、1クラブあたり40人×全56クラブ分、計2240人分の検査キットを、毎週検査ができる量で確保。かねて「国民の需要が優先」と話していた村井チェアマンは、「2週に1回でいいと考えている。我々から地域にリソースを解放することができると思っている」と、必要であれば地域に還元するつもりであることも明かした。

今後はJリーグ内にPCR検査センターを立ち上げ、各クラブで採取した唾液を検体として集めて検査する体制を整えていく。この方法であれば1時間で約100人分の検査ができるといい、鼻咽頭からの検体採取と比較して、検査機関の負担も軽減できるという。検査はJ2、J3の再開、開幕1週間前にあたる6月20日を目安に開始する予定で、費用はリーグが負担する。他にも体温を計測するサーモメーター450台、消毒液12トン、マスク7万枚などの物資を確保。観客を入れての興行も、7月10日を目標に並行して進めていく。

リーグの日程は6月15日に発表予定。詳細はこれから詰めるというが、村井チェアマンは「再開時点では、なるべく長距離移動を伴わないゲームを組んでいくことが必要と認識している。できれば最初の複数節は、地域間の大幅な移動がないように組みたいと考えている」とした。開幕、再開前の練習試合については、各クラブの判断に委ねられるという。

決めなくてはならないこともたくさんあるが、何はともあれ再開が決まった。街にスポーツ、Jリーグの活気が戻るまで、あと少しの辛抱だ。【杉山理紗】