再開初戦で今季初勝利だ! 新型コロナウイルスの影響による中断が明け、J1は2月下旬の第1節以来約4カ月ぶりに再開。北海道コンサドーレ札幌は横浜FCを2-1で下し、今季リーグ戦初白星を挙げた。

FW鈴木武蔵(26)が前半3分にJ1再開1号を奪い、先制。1-1の後半8分には、鈴木が決勝ゴールを決めた。無観客の中、リスタートをアウェー勝利で飾り、順位は11位に上がった。

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札幌の侍、武蔵が有言実行弾だ。133日ぶりのキックオフの笛が鳴った2分36秒後だった。MFチャナティップからのパスをゴール前で受けてシュート。相手DFに弾かれたが、再度左足で流し込み、先制点を挙げた。再開最速ゴールを「もちろん狙っていきたい」の言葉通りの1発に「まさか最初に点が取れると思わなかった」と喜んだ。

後半8分には右足で決勝ゴールを突き刺し、両耳に手を当てた。無観客で会場にサポーターはいない。それでも「リモマ(リモートマッチ)でも声は出ると思う。その声を聞いているよ、みんなとつながっているよって意思表示だった」。心で画面越しに歓声を浴びた。

サッカーができる喜びをピッチで表現した。試合前は「久々に足がすくむほど緊張した」。それでも始まってしまえば、やっぱり「楽しめた」と笑う。「この試合がある日常にあらためて感謝しないといけない」。その思いを90分ぶつけた。なかなか攻撃の組み立てがうまくできず、苦しい時間帯も長かったが、勝ちきった。

これでルヴァン杯含め今季公式戦3試合連続ゴールで不発なし。J1での開幕から2戦連発は札幌では01年FWウィル以来だ。リーグ3得点でランキングトップに浮上。今季目標に20ゴール&得点王を掲げる背番号9は「少しでも勇気を与えられたと思う」。北海道は全国的にも新型コロナウイルスの影響を大きく受けた地域で、明るいニュースを届けたい。それが願いだ。

千葉市内でのキャンプ生活を送りながらの再開後アウェー4連戦が始まった。好スタートに鈴木は「北海道で見てくれるみなさんのためにも、しっかりアウェーで4試合勝っていきたい」と誓う。「今日のゲームは勝利したことが良かったこと」と安堵(あんど)したペトロビッチ監督(62)のもと、過密日程もエースを中心に乗り切っていく。【保坂果那】

▽3バック中央で先発した主将のMF宮沢 長い期間試合から離れていた。ゲームができる環境戻れたことがうれしい。会場の雰囲気はいつもと違う感じがした。試合に入ってみれば集中することができた。勝因はエースがしっかりゴールを決めてくれたこと。

○…ベンチから見守ったペトロビッチ監督は、選手の動きに中断の影響を感じていた。開始すぐに先制するも、前半16分に同点に追い付かれた。相手にボールを保持され「やはりゲーム勘、体力が足りない」と言った。それでも勝ちきり「あまりいい出来でなくても勝利できたのはチームとしての成長」とうなずいた。後半にはJ1リーグ戦デビューの大卒ルーキーDF田中、MF高嶺を投入し、5人に増えた交代枠をフル活用して戦った。