ノースアジア大明桜が全国一番乗りで第99回全国高校サッカー選手権(12月31日開幕、東京・駒沢陸上競技場ほか)切符をつかんだ。メジャーのヤンキース田中将大(まさひろ)投手と名前が一画違いのFW田中将太(しょうた、2年)が先制ゴールを決めるなど秋田工を4-0で一蹴。全国選手権で最多6度優勝の国見(長崎)でもコーチ経験がある原美彦監督(47)体制3年目で、93年度の秋田経法大付時代以来27年ぶり4度目の出場を決めた。

マー君ならぬショー君の一撃が、「明桜」校名で初の全国選手権に導いた。前半27分、FW佐藤嵐(らん、2年)がドリブル突破し左クロス。最後は中央の田中が冷静に押し込んだ。「(佐藤嵐と)一瞬目が合って、来るなと信じ、合わせるだけだった」。シュートを放った勢いのまま自軍ベンチに向かうと、歓喜するメンバーにもみくちゃに。「もう最高です」と決勝ゴールを喜んだ。

大会開幕前日に気合を入れ直した。球児ではないが「高校サッカー界の甲子園」出場へ丸刈りに。また野球好きが影響してか? ヤンキース田中と同姓同名だと勘違いされることもある。「点があるかないかでたまに字とかも間違えられます」と笑い、全国舞台では「すごい方なので名前に恥じないプレーをしたい」。世界のマー君に負けじと高パフォーマンスを誓う。

明桜は今大会4試合で計23得点、無失点と圧倒して秋田王者に輝いた。国見以外にも神戸、名古屋などJクラブ下部組織でも指導実績がある原監督が18年4月に就任して以降、チームは猛スピードで進化。選手権県大会は就任初年度の18年が準優勝、19年は4強、今年は悲願の頂点に立った。

原監督にとって国見を強豪校にし、コーチとして仕えた小嶺忠敏氏(75)は「師匠」で、今でも連絡を取る間柄。「謙虚ですし、向上心も豊かだし、探求心もあるし、現状維持を考えずに常に前を見て進んでいる方。生徒よりもアクティブだし、僕も見習って、一緒に体を動かすし、寮でも一緒に楽しく過ごさせてもらっています。そういう部分は小嶺先生から学んだことなので、色強く発揮したいです」。常勝軍団のDNAを受け継ぐ明桜が旋風を起こす。【山田愛斗】