「尚志プライド」ここにあり! 尚志(福島1位)が東北学院(宮城1位)に1-0で競り勝ち、5年ぶり3度目のみちのく王者へ返り咲いた。0-0の前半3分、FW鈴木虎太郎(2年)がヘディングで今大会初得点となる先制ゴール。新シーズン幕開けを告げる新人戦で好スタートを切った。全国高校総体、全国選手権に向けて弾みをつけ、悲願の全国制覇の夢を実現する。

ゴールに飢えた虎太郎が、決勝の大一番で「虎の子の1点」を奪った。前半3分。FW網代陽勇(1年)の右クロスにニアに飛び込み、182センチの長身を生かし、ゴール左に頭で決めた。「決勝で絶対に決めたいと思っていた。コーチからは(ヘディング時に)『首を固定しろ』と言われていて、意識したことが良かったと思う」。得点機でゴールを決められなかったノースアジア大明桜(秋田1位)との準決勝から修正。待望の今大会初ゴールにつなげ、チームを5年ぶりの東北王者へ導いた。

「尚志プライド」を胸に全3試合を戦い抜いた。今大会は全国選手権覇者で大会4連覇中の青森山田、同選手権16強の仙台育英(宮城)など計4校がコロナ禍の影響で辞退。2度の選手権4強入り(11、18年度)を果たした尚志の選手の間には「自分たちが優勝しないといけない」という使命感があった。鈴木虎は「(青森)山田と(仙台)育英が辞退になり、自分らが(新人戦の)タイトルを取って、次へつなげていかないといけないと思った。(優勝できて)ホッとしています」。重圧のかかる中で結果を残し、会心のスタートを切った。

チームを引っ張ってきたチェイス・アンリ(3年)のようなスーパースターはいないが、大きな可能性を秘めている。指揮を執った梅津知巳コーチ(44)は「1、2年生を合わせたら総力的に高いチームをつくれる。1人1人個性があるので、3月までにどんなチームになるのか楽しみですね」と期待を寄せた。

「得点力」というテーマと向き合い続ける。昨年度は全国高校総体、同選手権の計3試合で無得点。1本で決めきる勝負強さを発揮できず、悔し涙を流した。鈴木虎は「点を取れなくて苦しんだ部分がある。練習から得点力を追求していく」と目をぎらつかせた。ストライカーとしての責務を全うし、目標に掲げる「全国制覇」の一翼を担う。【佐藤究】