史上初のノーサプライズ・ジャパンの誕生だ。日本サッカー協会(JFA)は5月31日、都内のホテルでワールドカップ・ロシア大会に臨む日本代表23人を発表した。

 W杯メンバー23人に初選出されたMF原口が、日本初の8強を目標に掲げた。西野監督が自らの名前を読み上げた都内ホテルの別室で会見し「素直にうれしかったけど、グッときたのは一瞬。出るだけでは意味がないので。目指すのはベスト8。日本がまだ行ったことのないところまで行きたい」と恐れず言った。

 挫折を乗り越えた。「世界大会に縁がなく悔しい思いをしてきた」。予選時は主力だった12年ロンドン五輪でまさかの落選。悔しさを、両親への「ごめん」の短文メールに込めた。14年W杯ブラジル大会も選外。直後、ヘルタへ移籍したのは日々世界と戦うため。「ドイツで体力、技術、戦術、すべての面で成長できた」。110メートル障害の日本記録保持者、筑波大の谷川准教授と4年計画で走法改善に取り組み、日本屈指の走力に。西野3バックの生命線、右ウイングバックで上下動が期待されている。

 最終予選で史上初の4戦連発を達成。主力として堂々、W杯へ挑む。一方、同時期に活躍しながら涙をのんだ仲間がいる。「予選で貢献して最後に選ばれなかった人の気持ちが僕には分かる。その人たちの分まで戦いたい」。公私ともに仲の良かった清武や井手口の無念もロシアに持ち込む。

 あこがれのW杯へ「夢の延長線上にいる感じ。仲間を信じて走り、粘り強く戦えば結果は出る」と疑わない。この日は髪色を暗くして気分一新。「初戦(6月19日コロンビア戦)のころには、また明るくなってるはず」と笑った原口が明るい兆しになる。【木下淳】