西野ジャパンの合宿初日から、明日10日でちょうど3週間になる。練習は笑顔に満ち、選手のSNSを見れば宿舎内の明るさも伝わってくる。物静かな西野監督に代わり、選手が一体感を醸し出しているのは明らかだ。ホテルで必要以上の接触を禁じていたハリルホジッチ前監督だけでなく、歴代の外国人指揮下ではなかった空気感。結構なことだが、当地のリゾート感が相まってか、ワールドカップ直前の緊迫感が薄く見えてしまう。

 これは「気の緩み」なのか。7日の公式会見。「前任者に比べ、和気あいあいとした雰囲気になった。このままいくのか、引き締めるのか」と問われた西野監督は「ふふ」と思わず笑みをこぼした。すぐ口元を引き締め「緊張感がないとは思ってません。確かにオープンな雰囲気はあるが、引き締めようという気持ちはない」と強調。「笑いが24時間、続いているわけでもないので」と受け流した。

 一方の選手は、少し危機感を覚えている。主将の長谷部は同日の取材エリアで「明るさが緩みになっていないか」と質問され「そう言われるのは分かっていた」と即答した。だが、楽観的な指揮官と違ったのは行動に移したこと。東京近郊での合宿から懸念していたのか、2日のオーストリア入り後、すぐ最年長35歳のGK川島と仲間を集め「監督がリスペクトしてくれて選手が多くをつくっていくなら、厳しさを求めないといけない」と訴えた。

 10年南アフリカ大会の川口、闘莉王ほどの存在はいない。W杯3大会目のDF長友は「メリハリはある」と自戒しているが、西野監督は選手任せのまま。危機感が乖離(かいり)している気がする。岡田武史氏ほど畏敬の念を抱かれている雰囲気でもない。8日スイス戦の前には選手とルガノ湖畔を散歩していたが、初戦まで残り10日、最高の精神状態に調律できるのか。もちろん日本のためには取り越し苦労に終わってほしい。その時は、8年前の「岡ちゃん、ごめんね」改め「西野さん、ごめんなさい」と頭を下げたい。【木下淳】