10月1日のカタルーニャ独立騒動以後、初めて行われた代表戦、バレンシア州アリカンテで開催された試合は落ち着いてサッカーの試合を観戦できるものだった。

 DFピケはいい意味でも悪い意味でも注目された。カタルーニャ出身DFにボールが集まるたびにスタンドからブーイングが飛ばされたが、同様に拍手も向けられていた。

 この試合、ロペテギ監督は心臓の問題から戦線を離れているカルバハルの代わりとしてRソシエダードのオドリオソラ、ワントップには好調バレンシアのロドリゴを起用。また、サウルがブスケツに代わり中盤の底を務めた。

 試合は序盤からタレントに優れるスペインがイスコ、ティアゴ、シルバを中心にボールを回し続ける展開で、1点目が入る前からスタンドは退屈しのぎのウエーブを始める。10月初旬ながら20度を上回る気候で行われた試合の先制点は前半17分に生まれる。シルバが右サイドから中央へドリブルでボールを運びイスコにつなぐ。RマドリードのMFは浮き球のパスを前線に送り、ワントップのロドリゴが胸トラップからの反転で相手DFを外し、左足を振り抜くとゴールネットに豪快に突き刺さった。

 前半23分、右サイドから再び崩したスペインはコケがペナルティーエリア内にいるイスコに縦パス。1点目をお膳立てしたイスコは今度はゴール左にシュートを決めた。

 さらに3分後、右サイドをサイドバックのオドリオソラが駆け上がりクロスを上げると、飛び込んできたティアゴが頭で合わせて試合を決める3点目をものにした。

 後半、リズムを落としたスペインで、最もスポットライトが当たったのは同15分のピケとナチョの交代。ブーイングと拍手が混じり合う中、背番号3番は頭上で手をたたいてサイドラインを越えた。試合終盤にはピケコールが起こり、それをさえぎるようにブーイングが夜空に響いた。

 結局、後半はアルバニアが好機をつくり出す展開となり、スペインはそこまで多くの決定機をつくることができなかったが、イタリアがマケドニアと引き分けたため、スペインの11大会連続15度目のW杯出場が決まった。

 ロペテギ監督は「予選の間、いろんなことが起きたけど、1日ずつ進んでいくこと、チームが良い状態であることを目指した。チームは素晴らしい働きをしてくれた。そのパフォーマンスで全員が力になった。本戦出場に満足だし、誇りに思っている。なぜならスペインにとってW杯に出場することはとても重要だからだ。アルバニア戦、決して簡単ではなかった。3点目までは試合をしっかりとコントロールしていた」と振り返った。

 イスコは「全員にとって出場を決めたことは誇りに思うこと。ロッカールームには幸福感が満ちあふれている。全員が満足しているし、なによりも全員が素晴らしい試合を見せた後だからね。完璧な予選をスペインはしてきたし、1試合を残して決めることができた。チームのこと、仲間のことを誇りに思っている。なぜなら、いろいろな騒動がある中、素晴らしい試合をした。開始30分で勝ち点とロシア行きのチケットを手にした。今、調子は良いし自信にあふれている。信頼を与えてくれる監督には感謝をしている。ピッチでその信頼を返そうと思っている」と話した。(山本孔一通信員)