世界の40を超える国と地域でスポーツを通じた社会貢献活動に取り組んでいるローレウス財団(本部ロンドン)が、2日までにローレウス・アンバサダー(大使)で、ギリシャ1部の強豪PAOK入りした元日本代表MF香川真司へのインタビューを行った。

香川は2017年からローレウス・アンバサダーを務めている。世界中の200人超の現役アスリートらによって構成され、スポーツを通じた社会貢献活動に取り組む同財団の活動を支援している。

香川は、スポーツの力やスポーツを通した社会貢献活動、これまで所属したチームの監督やチームメートとの出会い、そして新天地ギリシャについてなど、大いに語っている。

インタビューの最終回は、PAOK移籍の理由や、ギリシャでの新たな挑戦を含め、現在と未来について。

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-ギリシャ・スーパーリーグにはどのような印象をお持ちですか。リーグ内で、今後の対戦が楽しみな選手はいますか

香川 ギリシャのチームとは何度かドルトムントとユナイテッドの時に対戦していて、サポーターも熱く、非常に手ごわいチーム、守備の堅いチームという印象でした。実際にギリシャでプレーをしてみて、レベルの差は上位チームと下位チームとでは多少ありますが、オリンピアコスなど、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出場しているクラブもあります。リーグが終われば上位6チームによるプレーオフが行われ、非常にタフな戦いになると感じています。まずは新しいチームと新しい環境で、いろいろとパワーを使ってしまうところがあるので、しっかりと自分をコントロールして、毎試合自分のベストを調整していきたいです。ドルトムント時代のチームメートで、オリンピアコスのソクラティス・パパスタソプーロス選手とは実際に電話をして、近況を報告しあっているので、一緒にピッチに立てる日を楽しみにしています。

-ギリシャスーパーリーグを選んだ決め手を教えてください

香川 まずは、クラブや監督が自分のことをしっかりと評価してくれていました。それが一番大きな決め手です。10月にフリー(所属なし)になってから、自分の中で期限を1月と決めていました。そのタイミングで決まったチームが自分にとって運命のチームであり、自分がチャレンジするチームだと決めていたので、何の迷いもなかったです。(新クラブを)決断した時に、自分の中でわいた感情がすごく前向きにこの挑戦を受け入れていたので、それが自分の答えであると強く感じました。ここでまた自分のキャリアを築いていくだけだなという気持ちです。

-海外でプレーし始めて5カ国目、10年を超えました。世界各国でプレーする中で常に心掛けている

ことは何ですか

香川 若い時はとりあえず行けるところにチャレンジし、常にその時のベストなチャレンジをしてきました。ヨーロッパでは30歳を超えると評価がシビアになるので、その中でどう戦っていくか、本当にいろいろなチャレンジを求められると思います。だからこそ大事にしなくてはならないのは、周りではなく、自分自身の信念や自分がどうなっていきたいのかであると感じています。結果というのは二の次、三の次。もちろん、その結果を高めるためのプロセスにすべてを注ぎますが、そんな簡単に結果が得られるほど甘くない世界です。結果はコントロールできないので、そのプロセスやどうやって向き合っていくかがすごく大事だと思います。その上で、自分がオープンになり、日々前向きにこのチャレンジと向き合いながらやっていきたいと思っています。

-まもなく(3月17日に)32歳を迎える香川選手ですが、今の目標や夢を教えてください

香川 毎日ベストを尽くすだけです。もちろん夢や目標もありますが、いったんそれらは脇に置き、ここでの日々にすべての意識を持っていくことが何よりも大事だと思います。それは簡単ではなく、非常に難しいことです。いろいろな自分が現れてしまうので、そういった時にでも、常に自分の意識をここでの日々に持っていけるように戦い続けていきたいと思います。

(おわり)

香川真司大いに語る/ローレウスのインタビュー上

香川真司大いに語る/ローレウスのインタビュー中

◆ローレウス財団 2000年設立。「スポーツの力を持って社会問題に立ち向かい、スポーツの素晴らしさを世の中に広めること」を目的に、スポーツを通じた社会貢献活動に取り組む国際組織で、世界40カ国で活動などを展開。さまざまな競技の伝説的選手がメンバーに名前を連ねており、「世界スポーツ賞」の授賞式は「スポーツ界のアカデミー賞」とも称される。日本では内村航平、香川真司、杉山愛さんがアンバサダー。18年には大坂なおみが年間最優秀成長選手賞に輝いた。日本人初の受賞だった。