日本陸連が、男子マラソン日本記録保持者大迫傑(27=ナイキ)の問題提起を受けて、日本選手権の「強化委員会による推薦」の文言について、修正を検討することが25日、分かった。

尾県専務理事が都内で取材に応じて「あれ(強化委員会推薦)をやめてしまうとか、世界選手権メダリストなどの文言を入れるか。(強化部に)見直しについて、検討をしてもらいたいと思います」と口にした。検討の時期については、6月の日本選手権(一般種目)が終わった後になるという。

問題の発端は、大迫が自身のツイッターで、まだ出場資格のない1万メートルの日本選手権(来月19日、ヤンマースタジアム長居)の要項に記される強化委員会の推薦での出場を申請したが、断られたことを明かしたこと。同選手権の要項にある「強化委員会が特に推薦する本連盟登録競技者」がどのような選手を示しているのか、基準が明記されてないことを問題視した。その上で「なぜこのような項目を入れたのか。(強化委員会の)お気に入りの選手を出場させたいから」と苦言を呈した。

これに対し、日本陸連の河野匡・長距離・マラソン・ディレクターは「(間に人が入って、本人に)ちゃんと伝わっていなかったようだ。誤解がある」とした上で、推薦枠の適用について「ほとんど例がない」。そして基準の明記についても「どういうケースが出てくるか、想定できない」と否定的な意見を示した。

この見解に触れた大迫は再びツイッターで「明記できない規定は外すべきではないでしょうか」と訴えていた。

尾県専務理事はこの日「(要項の)伝え方の問題があった。そこは彼にとっても申し訳なかった」と陸連サイドの非を認めた。その上で「選手が主張する権利はあります。ただSNSではなかなか正確な主張はできないので、直接言ってもらいたかった部分はありますね」とも口にした。

大迫は「こういうツイートをする事は、僕自身にも余計なプレッシャーをかけるし、リスクがある事を理解してほしい。だけど声を上げていかないと、ずっと変わらない」と覚悟を示していた。その言葉は、日本陸連による推薦文言の再検討という形で、ひとまず実を結んだ形となった。