レース同様にトークもキレキレだった。大阪国際女子マラソンを2時間21分47秒で優勝し、残り1枠の東京五輪代表に大きく近づいた松田瑞生(24=ダイハツ)が快走から一夜明けた27日、大阪市内で、報奨金1000万円の目録を受け取った。

2時間21分59秒以内のタイムを出した選手に日本実業団連合が贈呈するもの。報奨金の使い道を問われると「貯金です」。イメージと違って? 意外と堅実だ…。「周りからも言われるんです。『お金を大切にしなさい』『金に寄ってくる男に気を付けろ』と」。完璧なつかみを披露し、報道陣を爆笑させた。友人に会うためバンクーバー旅行には行く予定だが、「マイルで行きます」。海外合宿などで貯まったマイルをお得に利用。やはり財布のひもは固いようだった。

ただ公私ともに支えてくれた母・明美さん(54)には恩返しをするそう。「お母さんが歯の治療をしたいと」。自分のご褒美はないが、その金額は「70万するんです」。想像より高い“おいしい”部分は、しっかりオチに持ってきた。「めっちゃくちゃ喜んでました。『ありがとうございます』って」。明美さんのモノマネも交えて、さらに会見場の空気を温めた。

5キロを16分30秒という高速ラップに対応できたのは大きな自信だ。「楽に感じたのが一番の収穫。日本記録を目指す上で、この感覚を覚えておけば」。昨夜はレース前に封印していたすしを解禁し、チームスタッフらと好物の赤貝、車エビ、ホッキ貝、ツブ貝などを満喫したという。「幸せでした」と白い歯を見せた。

日本歴代6位だった今回の結果で、東京五輪の舞台を大きく手繰り寄せた。3月8日の名古屋ウィメンズで、今回の自身の記録が抜かれなければ、出場が決まる。明美さんからは「みっちゃん、ここにメダル置く場所空けてるから」と言われたそう。自宅の一角の棚には、もう“メダル祭壇”が設置された模様だ。笑いの本場・大阪で生まれ育ったランナーは「そうなると優勝を目指してこそのメダル。優勝を目指して頑張りたい」と語った。

その棚は最高の奮起の材料になる。ただ扉がなく「ほこりがかぶる」との欠点もあるそう。だから最後に一言。「棚を買い直します」。もうええわ! そんな声が聞こえてきそうな空気感を作り上げ、爆笑の会見を締めくくった。