自転車の男子マウンテンバイク(MTB)で五輪3大会連続出場中の山本幸平(32、幕別町出身)が4日、東京都内で新所属先「ドリームシーカーレーシングチームMTB部門」の発表会見に出席した。自転車のプロチームに今年1月、自らMTB部門を立ち上げ、国際自転車競技連合(UCI)に登録された。20年東京大会での金メダル獲得と、競技の第一人者として後進の育成にも乗り出す。
マウンテンバイクへの愛があふれた。自ら立ち上げたチームの発表会見。山本の口から、東京オリンピック(五輪)に向けた力強い言葉が飛び出した。「金メダルを取るため、何としてでも自分自身のチームで活動したかった」。出場すれば4度目となる地元東京五輪での活躍。そして、第一人者として次世代の育成と競技普及が目的だ。「若手に自分の姿を見せて、成長してもらう。東京が終わった後も、この競技で頑張って欲しい」と話した。
昨季はフランスの強豪チームに所属し、国際大会を転戦した。以前から頭にあった、国内チーム構想。東京五輪まで3年を切った昨夏から本格的に動きだした。練習と並行しながら、スポンサー獲得のため、30社ほどあいさつ回りした。「競技の良さが伝わらず、心が痛んだりもした」と苦笑い。徐々に熱意が伝わった。最終的に12社が手を挙げてくれた。今年1月にチームが誕生。袖を通したユニホームに「海外チームで着てたものとは違う愛情がある。見るだけでもうれしい」と笑顔がはじけた。
冬季五輪平昌(ピョンチャン)大会で、同郷の高木菜那(25)美帆(23)姉妹が金2銀1銅1のメダルを手にした。互いの実家が約100メートル離れた隣近所。苦しい時期も知っている。夏季五輪3度出場の自己最高はリオデジャネイロ大会の21位で「彼女たちに勇気をもらった。自分はこれから2年半ある。あの(姉妹の)活躍があったから、金メダル取れるとみんなの前で言える」。身近な存在に自身の姿を重ねている。
この日の会見を終えると、初陣となるW杯第1戦(10日、南アフリカ)に向けて出国した。昨秋、元トライアスロン選手の敦子さん(33)と結婚。公私で環境がガラリと変わり、新たなシーズンに臨む。「世界との差は心の面。今回は最高の形で(シーズンに)入れて、頑張れる。まずはW杯で1ケタに入りたい」。勢いよく20年東京へと踏み出した。【西塚祐司】
◆山本幸平(やまもと・こうへい)1985年(昭60)8月20日、幕別町生まれ。10歳でMTBレース初出場。帯広農3年で世界選手権ジュニアクラス日本代表。全日本選手権は08~13年6連覇し、15~17年3連覇。アジア選手権は09~17年9連覇。五輪は08年北京46位、12年ロンドン27位、16年リオ21位。昨季世界選手権42位。家族は妻。182センチ、68キロ。A型。
◆ドリームシーカーレーシングチーム・マウンテンバイク(MTB)部門 16年3月、競輪界を始めとする日本自転車界のトップ選手が集まりプロチーム「ドリームシーカーレーシングチーム」を結成。MTB部門は今年1月に立ち上げられ、国際自転車競技連合(UCI)に18年から登録される。新田祐大代表、鈴木雷太監督以下、選手は山本幸平、松尾純、北林力の3人が発足メンバーとなる。