UCIアーバンサイクリング世界選手権(9~13日、アラブ首長国連邦・アブダビ)のBMXフリースタイル・フラットランド種目で初優勝した佐々木元(もと、37)が15日、喜びを語った。すでに13日に帰国していたが、同大会パーク種目で日本勢初優勝を飾った中村輪夢(20)を祝福するため、成田空港を訪れた。

佐々木は予選から高難度のトリックで攻め、2位に3・33点差の93・83点で初V。世界選手権は19年が3位、21年が2位と、あと1歩で優勝を逃してきたが、ついに悲願を達成した。この日は、各種目の世界チャンピオンだけが着用できる虹色のジャージー、アルカンシエルを身にまとった。「(これまでは)うらやましいという実感があまりなかったが、自分が虹色のジャージーを着て、表彰台で君が代が流れた時、すごく喜びが湧き上がってきた」とほほえんだ。

BMXフリースタイルは、パーク種目が昨夏の東京オリンピック(五輪)で初めて正式種目となり、24年のパリ五輪でも採用されている。一方、佐々木が取り組んでいるフラットランドは、正式種目となっていない。今年で37歳となり、若手の台頭も著しいが、夢への思いが原動力となっている。

「オリンピック種目になるまで、絶対に引退はしないと決めているので。あと6年。6年後には、きっと(正式種目に)なっていると思うので、その時に日本人が活躍できる状態であればいいなと思う。若い選手を育てる活動をしつつ、自分も負けないよう、切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」

金メダルを手にしてもなお、言葉に使命感をにじませた。「今朝も午前5時から練習していたんです」。そう笑う男は、夢を現実とするため、これからも技を極める。【藤塚大輔】