笹生優花(22)が21年大会以来2度目のメジャー制覇を果たした。3打差の5位から出て5バーディー、1ボギー、1ダブルボギーで68と伸ばし通算4アンダー、276をマーク。上位陣が崩れる中、逆転で頂点に立った。

2度のメジャー優勝は、日本勢では男子も含めて初の快挙。22歳11カ月13日での全米女子オープン2勝目は最年少記録で、ツアー通算2勝目に花を添えた。この勝利で、最新の3日付世界ランキングは30位から日本勢トップの6位に一気にジャンプアップ。今夏のパリ五輪出場も視界に捉えた。

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笹生の目にみるみる涙があふれた。18番の短いパットを沈めて優勝を確実にした時には、左拳を小さく3回振っただけ。同組の小祝に歩み寄り、小さくお辞儀した。最終組の結果で3年ぶりの戴冠が決まっても大きなアクションはなかった。ただ、この時は違った。

笹生 21年に優勝した時には母に恩返し、今回は父に恩返しができました。両親にそれぞれ恩返しができたことをうれしく思います。

グリーン上での優勝インタビューだった。前回Vは母フリッツィさんの母国フィリピン国籍。20歳で二重国籍から日本国籍を選択し、今回のツアー2勝目は父正和さんの母国国籍で飾った。全米オープン79回の歴史で初めて掲げられた日の丸を見つめ「メジャーで勝ちたかったので、難しいチャレンジを楽しんだ」と喜んだ。

3打差5位からの最終日。6番のダブルボギーもあり、折り返した時点で首位のリー(オーストラリア)とは5打差も、後半にラッシュをかけた。上位が崩れる中、12、13番の連続バーディーで単独首位に。出色は16番パー4だった。この日の実測239ヤードで3番ウッドを強振し、「いいショットを打った」と1オン。興奮のギャラリーの前で、この日5つ目のバーディーとし、勝負を決定づけた。

ジュニア時代の米国での大会。今大会3位のリー(米国)に平均飛距離で40~50ヤードも引き離されて泣きじゃくり、体を鍛えると決意した。毎朝5時に起き、両足に計2キロの重りをつけて100メートルダッシュ10本、50メートル10本、反復横跳び30分などを重ねてきた。培った飛距離という武器は、再び米国での歓喜につながった。

3年前の今大会で米ツアー初制覇。19歳11カ月17日の最年少優勝記録も樹立し、すぐに米挑戦を決めた。父からは「飛行機、部屋を取るのも、全部自分でやりなさい」と諭された。あえて突き放してくれたことで、プレー以外での強さも身についた。先輩の渋野に「しっかりしているから、年上ながら頼ってしまう」と言わせるほど。「3年間ではなく、ずっとお父さんと一緒だった」とかみしめた。

2カ月後には、パリ五輪が控える。東京五輪はフィリピン代表で出場。今回の勝利で、30位だった世界ランクは最新3日付で6位までジャンプアップし、今度は日本代表として臨むパリ出場権争いでトップに立った。「(代表決定まで)あと3試合あるので、しっかり集中して頑張りたい。フィリピンでも日本でも自分にとって(五輪は)特別なので」。両親へ、2つの母国へ-。1打1打に思いを込めていく。