世界6位の錦織圭(25=日清食品)が、王者の厚い壁の前に屈した。世界1位で、今季マスターズ大会3戦無敗で19連勝中のジョコビッチ(セルビア)に、第2セットを奪ったが3-6、6-3、1-6の1時間48分で敗れた。18日に発表の世界ランキングでは5位復帰が確定。全仏には第5シードで挑むことが確実となった。赤土3戦を優勝、4強、8強と安定感のある成績を残し、過去最高の準備で、24日開幕の全仏(パリ)に挑む。

 王者との対戦は、全仏に向け、体やプレーの両面で、最高の指標だった。結果は敗退。しかし、痛みはありながらも体は最後まで動き、第2セットは王者をたじろがせた。「いいプレーもあったが、それを維持するのは、ジョコビッチ相手だと本当に難しい」。悔しさをにじませた。

 錦織が、最近、使う言葉に「しばく」というのがある。第2セットは、まさに得意のフォアで、ジョコビッチをしばいた。「思い切り臆することなく打っていけた」と全力でヒット。左右に打ち分け、ジョコビッチの守りを壊した。

 最終セットは、今度は相手がレベルを上げ、錦織は「疲れもあった」。第1ゲームで、ブレークチャンスがあったが、それを逃すと「なかなか毎試合、100点のプレーをすることは難しい」と、第3ゲームから5ゲームを連取され、1ゲームしか奪えずに敗れた。

 これで世界5位復帰が決まり、全仏では第5シードが濃厚だ。ただ、上位4シードなら準決勝までランク下にしか当たらない。第5シードだと、準々決勝で上位4シードとの対戦が待ち受ける。4位となるベルディハとは、わずか10点の差。この日勝っていれば4位が確定しただけに、その点では惜しい敗戦だった。

 それでも、過去とは違い、最も充実した状態で全仏を迎える。錦織も「初めて、いい形でフレンチに入れる」と手応えを感じている。全仏前に、前哨戦3戦をすべて無事に戦い終えたのは、13年以来だ。加えて自身最高の結果を残し「しっかり休んで」万全な態勢で赤土最高峰に挑む。【吉松忠弘】

<錦織の全仏と前哨戦>

 ◆08年 ツアー下部大会で優勝し、全仏の予選に初挑戦。予選2回戦で敗退。

 ◆09年 右肘のケガで3月から休養。全仏も欠場。

 ◆10年 ツアー下部大会で優勝し、初の全仏本戦入り。2回戦で敗退。

 ◆11年 イタリア国際で急性胃けいれんになり緊急帰国。全仏は2回戦敗退。

 ◆12年 バルセロナで腹斜筋を痛め棄権。全仏も欠場。

 ◆13年 初めて赤土3連戦をこなし、マドリードではフェデラーを破る。全仏は初の4回戦進出。

 ◆14年 バルセロナ優勝、マドリードも決勝に進んだが、臀部(でんぶ)の痛みで途中棄権。準備不足で全仏は初戦敗退。