リオデジャネイロ・パラリンピック陸上女子400メートル銅メダルの辻沙絵(22=日体大)が5日、都内で行われた「障がい者スポーツシンポジウム」に参加し、20年東京パラリンピックへ向けて日本選手の競技力向上へ提言した。

 シンポジウムは、ヤマハ発動機スポーツ振興財団が主催し、テーマは「障がい者スポーツ選手の発掘と育成」。白のパンツに紺色ジャケットを羽織った辻は、東京大会へ向けて(1)専門知識を持った監督による指導(2)女性コーチとスタッフを増やすことが、競技力の向上へつながると強く訴えた。「もう、パラスポーツはリハビリの延長線でありません。指導者も男性と女性の考え方の違いはあり、知識のある女性だとメンタル面でのサポートも非常に大きい。パラスポーツを強化するためにもこういった指導者が増えてほしい」。

 辻は小5からハンドボールを始め、スポーツ推薦で日体大に進学。13年9月に東京五輪・パラリンピックが決まったことで、大学側からパラ競技への転向を打診された。戸惑いもあったが、瞬発力が生かせる陸上競技に決まった。昨年12月にハンドボール部から陸上部に転部。水野洋子監督と二人三脚で練習を積み、指導者との深いコミュニケーションが銅メダル獲得につながったと説明した。

 「リオ大会の決勝前日は緊張して頭がおかしくなっていた。ベッドと壁の間に挟まり、不安で『嫌だ!!』と繰り返していました。その時、監督といろいろな話をして『失敗しても次がある』『今までこれだけやってきた』など声をかけられ、励まされました。メダル獲得後は監督と一緒に何度も泣いて、精神面を支えてもらったなと強く感じました」。当時の様子を思い出し、言葉に詰まる場面もあった。

 リオ大会で日本選手団は24個のメダルを獲得したが、64年東京大会以来、初の金メダル0個に終わった。4年後に向け、各競技団体の選手発掘や競技力向上が急務とされている。

 シンポジウムには、パラ競泳の一ノ瀬メイ(19=近大)や、リオ大会でボッチャ団体(脳性まひ)を率いた村上光輝ヘッドコーチらも参加した。