Bリーグ初代王者栃木ブレックスは28日、宇都宮市の栃木県庁内で会見を開き、元日本代表のポイントガード、渡辺裕規(29)の現役引退を発表した。

 渡辺は「今シーズンをもちまして引退します。4年前に(前所属の)パナソニックが廃部となってこのチームに来たときから、この年で終わろうと思っていた。30歳というのは少なからずあった。この先が長いと思っていた。この先、いろんなことを経験した方がいいと思ったのでこのタイミングで引退を決めた」と話した。

 渡辺は世田谷学園高から青学大に進み、卒業後はパナソニックトライアンズで13年全日本総合選手権優勝。13年に栃木入りし、今季は、田臥勇太の控えのガードとしてチームを支えた。激しい守備と3点シュートで初代王座獲得に貢献した。レギュラーシーズン全60試合とプレーオフ6試合に出場。「この4年間、プレーオフで負けた悔しさとか、自分の不完全燃焼への思いとか、最後のシーズンですべてが精算できた。プレーオフに入ってからのブレックスアリーナや代々木第1体育館でのファンの光景とか、そういう光景を見ることのできない選手が多い中で、その光景を見させていただいた。幸せに思えるようなプレーオフだった」とすがすがしい表情で話した。

 4年前、渡辺をチームに誘ったという鎌田眞吾社長は「チームとしては残って続けて欲しかったが、本人が強い意思をもって引退を決めていた。4年前、チームをがらっと変える時に渡辺と古川が入ってくれて、チャンピオンシップ優勝までチームのために頑張ってくれた。チームとしては、彼がどこへいっても応援していきたいと思います」と、涙ながらに語った。

 渡辺は、今後について「今の時点では何も決めていない。バスケットボールの指導やコーチングといった意向はない」と話した。