三度目の正直とはならなかった。16年リオデジャネイロオリンピック(五輪)女子63キロ級代表で初優勝を狙った田代未来(24=コマツ)は準優勝に終わった。

決勝で17年世界女王のアグベニュー(フランス)に延長50秒、払い巻き込みで一本負け。過去1勝と苦手とする相手に果敢に攻め続けたが、足が止まった一瞬の隙を狙われた。試合後は互いに抱き合ったが、悔しさが徐々にこみ上げ、涙してこう振り返った。

「チャンスをものに出来なかった。(足を)止めないことを意識したけど、投げられたということは止まったということ。負けは負け。もっと、もっと、強くなる」

リオ五輪後は左手首を手術し、長期休養して自身の「弱さ」と向き合った。一時期は柔道家としての自信も失いかけたが、所属の仲間たちの試合を見て、再び「畳の上に上がりたい」と強い気持ちになった。腐りかけた時は、5位に終わった五輪の試合映像を見返して「再び、こうなりたいのか」「これを忘れたのか」と己を奮起させた。

昨年6月の復帰後からは国際大会3勝。組み手の徹底と終始攻撃を緩めない試合運びを心掛け「以前とは違う。自信がついた」と進化を実感した。怪力で独特の組み手を仕掛ける「アグベニュー対策」にも取り組み、力の強い66キロ級の男子選手と組むなどして強化を図ってきたが、あと1歩及ばなかった。

今大会はリオ五輪以降の大舞台となった。「ようやくスタートラインに立てた。世界の舞台に戻ってこれたことに感謝して、次こそは必ず勝ちたい」。泣いている時間はない。田代の本当の闘いはこれからだ。