「忍者スポーツ」パルクールが「五輪体操」の目玉になる。国際体操連盟(FIG)管轄のパルクールが都市型スポーツ総合国際大会の「センター」を占拠。五輪競技入りへ強烈なアピールをした。FIGの渡辺守成会長も24年パリ五輪で採用される可能性を「50・50」と断言。女子フリー予選をトップ通過した泉ひかり(23)も5年後のパリでの活躍を誓った。

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かつての市民球場のホームからセンター方向へ、パルクールのパフォーマーたちが障害物を華麗に駆け抜けた。昨年は7競技のコースが会場を囲むように設置されたが、今回は中心のパルクールを五輪競技のスケートボードやBMXフリースタイルが囲む。さらに、コースを見下ろすのはVIP席。2年目の大会は「パルクール推し」だった。

大会を主催する日本アーバンスポーツ支援協議会の渡辺会長は「パルクールを五輪に入れるためのFISE」と、FIG会長として公言する。体操、新体操、トランポリンに続く4つ目の五輪競技入りへ。来春にはバレンシア(スペイン)などを候補地に第1回の世界選手権も開催予定で、準備は着々と進んでいる。

今年2月、パリ五輪の追加種目候補が決まったが、パルクールは体操の競技。来年の東京五輪以降、FIGが「新種目」として申請すればいい。「ごり押しはしない。まずは認知されること」と渡辺会長は慎重だが、24年パリ大会の実施確率を「50・50(フィフティ・フィフティ)」と言いながら自信ありげだった。

今月初旬のW杯成都大会で初優勝した泉は「パリなら28歳。いいランができると思う」と話した。5年前にCCレモンのCMで「忍者女子高生」として注目を浴びたが、5年後には「五輪金メダル候補」として注目される可能性がある。フランスはパルクール発祥の地。バッハ会長ら国際オリンピック委員会(IOC)も前向きだ。FISEの「センター」から24年パリ五輪へ、パルクールが障害を跳び越えゴールを目指す。【荻島弘一】

◆FISE(フィセ) エクストリームスポーツ国際フェスティバル。97年にフランスで始まり、03年から世界シリーズが行われている。今季は広島大会など全4戦。国際競技連盟のW杯として行われるBMXフリースタイル、パルクールを中心にスケートボード、ウエークボードなどが行われる。プロに特化したXゲームに対し、ジュニアカテゴリーやアカデミーなど教育にも力を入れている。