全日本柔道連盟(全柔連)のパワーハラスメント問題を受け、会長を辞任する可能性を示唆していた山下泰裕氏(63)が、26日の記者会見後の常務理事会で会長続投の決意表明をしていたことが27日、分かった。

山下氏は26日、東京・講道館で行われた会見後、オンラインでの常務理事会に出席。会見では一連の騒動の責任を重く受け止め、辞任を含めた「全ての可能性がある」と述べていたが、その45分後の常務理事会では会長続投の決意を示していたことが判明。出席者にパワハラ問題について謝罪した上で、6月に任期満了を迎える最高責任者として「辞任」という形で問題から逃げるのではなく、再発防止を図るためにも続投する決意を述べたという。出席者からは激励の言葉をかけられ、否定的な声はなかったという。常務理事会後のメディア説明会で、記者からの「山下氏は進退の意向は伝えたか?」との問いに、中里壮也専務理事は「それはなかった」と矛盾が生じる回答をしていたことになる。

パワハラ問題は昨年4月、全柔連で発生した新型コロナウイルス集団感染の原因を調べる過程で発覚。コンプライアンス委員会が職員に聞き取り調査を行い、11月に前事務局長のパワハラ疑惑が指摘された。前事務局長は12月1日に辞表を提出し、音信不通のまま今年1月に自己都合で退職。山下氏ら執行部の聞き取りに応じず、全柔連の規定で「当該者に弁明の機会を与えなければ処分できない」として、パワハラ“疑惑”で終わっていた。山下氏は日本オリンピック委員会(JOC)の会長も務めている。