36歳の滑りは健在だった。10年バンクーバー五輪7位入賞の織田信成(大阪・大阪スケート倶楽部)が、78・09点で3位発進。全3本のジャンプを成功させると、表現面などを示す演技構成点でも1位タイの38・13点をマークした。観客を驚かせたが、当人は「最初に4回転-3回転を跳びたくて…」と猛省。冒頭のジャンプが連続3回転トーループとなり、4回転を跳べなかったことを嘆いた。
今大会に懸けてきたからこそ、悔いがあふれた。昨季途中で約9年ぶりに現役復帰し、昨年1月の国体では個人9位に入った。しかし昨夏、国体出場時に復帰届を提出していなかったと判明。引退したトップ選手が国内最高レベルの競技大会に出る場合は、6カ月前までに日本アンチ・ドーピング機構などに復帰届を出す必要があるが、その規定に反していた。国体の成績は無効となり、昨年末の全日本選手権への道も絶たれた。そこからは「クヨクヨしても仕方ない。ここに自分の全てをかける」と、今大会に照準を合わせてきた。
昨年末に家族で沖縄旅行へ訪れた時は、現地のリンクで練習。「何とか体をキープしよう」と体を動かした。その努力がこの日の結果に表れた。同じ大阪代表で25歳の友野は「去年は後半でバテていたが、今回は一切なかった。あの年齢で成長できるなら、僕もまだまだできる」と刺激を受けた。
友野の言葉は、織田が挑む理由と重なる。4児の父は言う。「大人になってもできるぞって、見せたい思いがある」。今日30日のフリーでも、その願いを滑りに込める。【藤塚大輔】
○…16歳の織田信義(大阪・芥川高)が、叔父の信成と同日出場を飾った。少年男子フリーで3回転ルッツ-2回転半の連続ジャンプなどを決め、合計149・45点の9位。「すごく気持ち良かった」と笑みを浮かべた。成年男子SP3位の信成には「練習でも『本当に30代後半?』と思う動きをする」と尊敬。自身も負けじと、昨年11月の全日本ジュニア選手権に初出場を果たしており「最近はやっと1歩くらい近づけた」と実感を込めた。
◆国民スポーツ大会冬季大会 23年までは「国民体育大会」の名称で実施されていたが、今年から「国民スポーツ大会」(略称「国スポ」)に改められた。これはスポーツの価値を世界の人々と分かち合い、スポーツを通じた社会変革に向け世界各国と協調していくことを理念とするため。


