世界ランク7位の早田ひな(26=日本生命)が、生まれ変わりつつある自分に喜びを感じている。
同29位の杜凱琹(香港)に3-1(11-5、7-11、11-8、11-9)で勝利。第2Gこそ奪われたものの、ボールのキレや正確なコントロールで終始相手を上回り、第3Gからは2ゲーム連続で接戦をものにした。初戦突破が決まると、両腕を突き上げて笑みを浮かべた。
「負けない強さも自分の持ち味。今回は苦しい思いが大きかった。(ガッツポーズは)解放された笑顔だった」とうなずいた。
早田は銅メダルを獲得した24年パリ五輪を境に、利き腕の左腕痛の影響などで苦しむ時期が続いた。5月の世界選手権団体戦では、中国との決勝で2敗。悲願の金メダルに届かず、責任を負った。帰国後のアジア選手権国内選考会では準決勝で赤江夏星に敗れて「なかなかいつも通りにいかなかった」と涙を流し、6月中旬のWTTコンテンダー・ザグレブでは2回戦で横井咲桜に敗れた。
ただ、苦難の時期も「ここで逃げては意味がない」と休まなかった。結果が伴わない日々を、自分自身を見つめる機会にした。
「選考会で負けて、横井選手にも負けて、そこで自分と向き合ってみて、いろいろな話をしている中で何となくまとまった。自問自答していた中、ちょっと光が見えた。自分への答えが出てからが始まりだった。いろいろな人との関わりにおいて、『あ、この感情が邪魔しているのかもな』と意識して、そこから卓球が一気に良くなった感じがします」
直後のWTTスターコンテンダー・リュブリャナを制すと、7月のWTTスターコンテンダーサン・ジョゼ・ドス・カンポスでも優勝。息を吹き返し、2カ月連続で国際大会を制した。
不純や惑いが削ぎ落とされたことで、自分自身の核がはっきりとした。以前よりも洗練された感覚があるという。
「パリ五輪の時より、自分自身が分厚くなって、幹が太くなっている気がする。パリ五輪の時の自分と対戦したら、今の自分のほうが強い自信があります。いろいろと覆い被さっていたものが1枚ずつはがれていっている感覚。より自由になっている。卓球もそうですし、人間としても、いきいきしている感じがします」
表情はどこか吹っ切れていた。早田は今、変化の過程を楽しみながら、ラケットを振っている。


