佳純のゲキ推し。愛知・名古屋アジア大会が19日に開幕する。16日から生放送を行うTBSでスペシャルアスリートアンバサダーを務める石川佳純さん(33)がこのほど、日刊スポーツのインタビューに応じた。23年に現役引退後、多くのトップアスリートを取材。1994年広島以来、32年ぶりの国内開催を前に自身の経験談や厳選の「推し選手」を紹介した。【取材・構成=泉光太郎】

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石川さんは、アジア大会で10年広州、14年仁川に出場して、通算3個のメダルを獲得した。特に卓球は、中国を筆頭にハイレベルな戦いだったと振り返る。

「2度出場しましたけど、すごくハードなイメージ。卓球はアジア勢が強くて、世界選手権とほぼ同じようなレベル。私も毎日、試合を朝9時から夜0時半ぐらいまでやっていたけど、4年に一度の大舞台で緊張感のある試合を経験できたことで五輪のメダルにもつながった。日本にとっては経験値を増やせる重要な大会になるんじゃないかな」。

アジアに世界トップ級が集う卓球で、日本は打倒中国が最大のテーマ。自身の経験をもとにして、アジア大会を28年ロサンゼルス五輪に向けた「腕試し」と位置付けた。競技の先輩として、悩みながらも注目のキーマンも選んだ。

「(注目は)全員なんですけど、この前のWTTチャンピオンズ横浜で男女アベック優勝した張本きょうだいがすごく楽しみです。特に(妹の)美和さんは竹のようにぐんぐん成長していて今が本当に伸び盛り。格上の選手に勝って、勢いを止めずにどんどん伸びていってほしい。中国選手に勝てば、ワールドツアーとは違う勝利にもなる」

自身も激闘を繰り広げてきた中国への勝利の鍵は「準備と勇気」と語る。

「私が思うに10回負けても11回目は分からない。それが今日かもしれないと思って常に準備することが大事。あとは『今日こそは勝つ』という勇気を持つこと。ホームの日本でチャンスもあると思いますし、私も日本の世界選手権ではすごくいいプレーができた。声援をパワーに変えてチャレンジしてほしいですね」

石川さんは引退後、他競技の観戦が趣味になった。現在は取材者としても選手と向き合う。今大会で伝えたいのは、卓球の魅力だけではない。

「改めて感じるのは競技数の多さ。新しい立場になって新しい発見があるので、必ず『推し競技』『推し選手』みたいなのができるんじゃないかな。伝える立場にもなったので、見てもらう人にもそういうところを感じてもらいたい」

自ら足を運び、話を聞いてきた。注目選手について聞くと、頭を抱えながら「ん~、2人いいですか? 」と名前を挙げた。

1人目はソフトボール女子で前人未到の7連覇を目指す上野由岐子だ。

「7回目の代表で6連覇に全部関わっているのが信じられない。44歳のモチベーションが『今も勝つことが楽しい』と聞いて7連覇へのプレーが本当に楽しみになりました」

2人目には24年パリ五輪陸上女子やり投げ金メダルの北口榛花を挙げ、自身の競技人生と重ね合わせた。

「(東京)世界陸上で悔しい思いをされてからフォームやコーチを変えたりしている。私も卓球でボールが変わった時にフォームをちょっと変えたんです。それが自分の中では一番大変だった。世界チャンピオンになってまた新しいことにチャレンジするってすごくエネルギーのいることだと思う。アジア大会ではさらに進化した北口選手の笑顔が見たいですね」

43競技469種目で熱戦を繰り広げるアジア最大級のスポーツの祭典。

2年後のロス五輪を占うという意味は、選手だけでなくファンにもあるという。

「4年に一度の大会で緊張感や雰囲気が五輪と似ているんですよね。また、日本開催も貴重な機会。見る人に感動と一緒に競技の魅力だったり、新しいスポーツを好きになって、知ってもらうきっかけにもなるのかなと思います」

32年ぶりの国内開催だからこそ、余すところなく伝えていく。

◆石川佳純(いしかわ・かすみ)1993年(平5)2月23日、山口市生まれ。両親ともに卓球選手で、平川小1年で競技を開始。11年に高校生で全日本初優勝し、計5度制覇。五輪は団体でロンドンから東京まで3大会連続メダル。世界選手権は17年大会の混合ダブルスで金メダルを獲得。アジア大会は10年広州で女子、混合ダブルスで銅、14年仁川団体銀メダル。23年5月に現役引退を発表した。