ラグビーW杯日本大会で初の8強入りを果たした日本代表が21日、都内で解散した。

20日の準々決勝南アフリカ戦は3-26で敗退。一夜明けて総括記者会見を行い、宿舎ではフランカーのリーチ・マイケル主将(31=東芝)が涙を流して3年間を締めくくった。日本中を歓喜に包んだ代表のバトンは新しい世代へと託され、23年フランス大会につながっていく。

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リーチが泣いた。チーム解散前、都内の宿舎で行われた最後のミーティング。選手、スタッフを見渡し「このチームのキャプテンを務められて誇りに思う」と伝えると、涙があふれ出たという。関係者が「泣いたところはあまり見たことがない」と驚くほど、熱のこもったスピーチで締めくくった。

前夜の南アフリカ戦後は「下を向く必要はない。胸を張ろう」とたくましく、仲間の肩をたたく主将だった。目標に掲げた8強が懸かった、1次リーグのスコットランド戦。自らが先頭に立ち「優しい気持ちは必要ない。鬼にならないといけない」と背中で示した。ジョセフ・ヘッドコーチが就任して3年。ようやく肩の荷が下りたのか、力をスッと抜いて「たくさん犠牲を払ってきた。今後について、しっかり考えていきたい」と足跡を振り返った。

日本代表が目指す場所は、4年後のW杯フランス大会へと移った。約200人の報道陣が駆けつけた都内の総括会見。フッカー堀江は「11年のW杯でニュージーランドから帰ってきたら、記者が2~3人やったかな。今、目の前にこんなにいるのは、本当に考えられない」と目を丸くし「これを継続せなアカン」と強調した。W杯3大会連続出場のSH田中は話す前から涙を流し「僕とか(38歳のロック)トンプソンとかはもうおっさんなので、これからは厳しいかもしれない」と切り出した。続けて「若い(SHの)流だったり、茂野だったり、もっと期待できる人材がいっぱいいる」と名前を挙げ、“指名”された後輩2人は目頭を押さえた。ぬくもりの残ったバトンは手渡された。

ゴールとスタートが交わった1日。今大会で全5試合に先発した、25歳のNO8姫野は「ラグビー界は今後が大事になってくると思う。どんどんラグビーの魅力、素晴らしさを、発信していけるようにやっていきたい」と使命感をにじませた。歴史をつくった31人は所属先に戻り、再出発する。リーチは力強く言った。「日本代表は、強いまま継続することが大事。日本のファンを感動させられる試合を続けられたらいい」。4年前は一過性の盛り上がりだったかもしれない。ここから、日本ラグビーの真価が問われていく。【松本航】