「ど根性大根」今度は世界遺産で発見
世界遺産になっている和歌山県九度山町の慈尊院境内で、コンクリートで固めた石垣と道路のすき間から大根の葉が出ているのが発見された。大根は青首大根とみられ、「ど根性大根だ」と話題になっている。昨夏発見されて現在は水栽培されている兵庫県相生市の“元祖”は、しおれ始めたというが“2代目”はミニトマト大の根が地上に顔を出している。安念清邦住職(62)は「抜き取られないかと心配。移植できるか専門家と相談したい」と話している。
“2代目”の「ど根性大根」が発見されたのは、世界遺産になっている慈尊院の境内。1月30日に参拝した奈良県の女性信者が、コンクリートで固めた石垣と道路の間に生えているのを見つけたという。安念住職は「ほとんどすき間のないところ、考えられないところから出ている。テレビで見た兵庫の『ど根性大根』と同じやないかと思いました」と驚いている。
「最初見たときはタンポポかカブかもしれないと思った」(安念住職)というが、信者や関係者の調べによって、葉っぱの形などから青首大根と判断した。地面に張り付くように直径20センチぐらいに広がる葉っぱを手でどけると、ミニトマト大の薄黄緑色の根がちょこんと地面から顔を出していたという。
昨夏、兵庫県相生市でアスファルト道を突き破って成長しているのを発見された「ど根性大根」は、昨年11月、何者かに地上に出ていた部分が持ち去られてしまった。2日後、元の場所に戻されているのが見つかり、同市職員が保護して水栽培で育てていたが、1月28日にはつぼみや葉の部分が茶色などに変色し、しおれ始めて“危篤状態”になったのが確認された。
その様子をテレビで見て、心を痛めていただけに安念住職は「道のそばにあるので、蹴られたり、抜き取られないかと心配している。イタズラされない前に移植できるか専門家と相談したい」という。
慈尊院は空海が816年(弘仁7年)に創建した歴史のある寺院。過去に「ど根性大根」が発見されたというのは「聞いたことがない」(安念住職)という。同住職は「100メートルぐらい離れたところに農家があるから種子なんかが飛んできたのかな。生えていた場所は年末に草取りをしたところだから、そこだけ見落としていたことになる。不思議なご縁があるのかなと思います」と話している。
[2006/2/1/08:51 紙面から]
写真=慈尊院の石垣と道のコンクリートの間からちょっぴり顔を出した大根(共同)
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