カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレが1次リーグ5勝4敗の4位で通過した。18日午後9時5分(日本時間)からは、決勝進出を懸けてスイスと再戦する。

勝利のカギとなるのは後攻時の戦い方。カーリングはもともと後攻チームが有利な競技とされるが、過去の膨大なデータをひもとけば、ロコ・ソラーレはその有利な状況を最大限に生かして戦ってきたことが分かった。

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有利な後攻時に複数点を挙げ、逆に失点は許さない。そのカーリング戦術の鉄則を、ロコ・ソラーレは徹底して実戦してきた。

北海道大自律系工学研究院の山本雅人教授(53)は、女子トップチームによる過去3シーズンの2225試合(北京五輪開幕前の時点)を分析。そのデータによれば、後攻時に複数点に挙げる割合を示す「ハンマー・エフィシェンシー」という数値で、今季のロコ・ソラーレは45・8パーセントをマーク。五輪参加チーム(参加国の中国をのぞく)では米国、英国に続く第3位の数字となる。

隙のなさも際立っている。後攻時に得点を許すことをスチールと呼ぶが、それを防ぐ「スチール・ディフェンス」の数値は13・0パーセントで文句なしの1位。山本教授は「目を見張る数字」と感嘆する。もともとロコ・ソラーレはこの数値が秀でていたが、2季前の19・2パーセント、前季の14・6パーセントから、さらに精度を高めて今大会に臨んできた。

17日のスイス戦ではロコ・ソラーレは、第4、5エンドに連続スチールを許してしまった。準決勝進出が懸かった一戦で、強豪相手に普段通り戦うことの難しさが垣間見えたが、同じ轍(てつ)を踏まないことが、決勝進出へ向けた1つのポイントとなりそうだ。

同研究室のツイッターアカウント「AIじりつくん」では、北京五輪中の最新データも随時紹介。さらに最新スコアによる各エンドごとの期待勝率もリアルタイムで投稿されている。観戦中にチェックすれば、楽しみはさらに増すだろう。【奥岡幹浩】

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◆山本雅人(やまもと・まさひと)1968年(昭43)7月30日、札幌市生まれ。札幌旭丘-北大-同大学院修了後、現在に至る。専門は知能機械学や知能情報学。趣味のボードゲーム「バックギャモン」の友人に誘われたことからカーリングを始め、チーム「BackgamMoN」ではスキップを務める。

◆北京五輪ベスト4進出チームの今季ハンマー・エフィシャンシー

英国 47・7パーセント

日本 45・8パーセント

スイス 40・7パーセント

スウェーデン 35・6パーセント

◆北京五輪ベスト4進出チームの今季スチール・ディフェンス

日本 13・0パーセント

スウェーデン 16・9パーセント

英国16・8パーセント

スイス 19・4パーセント

(データは北大山本教授提供、数値は大会開幕前時点)