北京五輪女子カーリングで日本代表ロコ・ソラーレが初の決勝進出を決め、20日の午前10時5分からの決勝で金メダルを懸けて英国と戦う。

今大会、スキップ藤沢五月の右手にはある文字が書かれている。「D47」や「C2D6」などの数字。実は、リードからスキップまで4人が投げるストーン(石)の番号を表している。

カーリングで使う石は、各チーム8個ずつ。各シート(試合コート)に備え付けられていて、1から8まで番号がふってある。石によって曲がり方や滑り方など違いがあるからだ。試合前夜の「ナイトプラクティス」で、リザーブの石崎琴美が石の癖をチェック。選手は、その情報をもとに試合に臨んでいる。

癖のある石は速く投げることが多いセカンド、逆に癖がない石は繊細なコントロールが欠かせないスキップが使うことが多い。氷の状態とともに石の状態を把握するのは勝利へのカギ。だから選手たちは「琴美ちゃんのおかげ」と口をそろえる。藤沢の右手には、石崎からの貴重な情報をもとに決めた各選手の投げる石の順番が記してあるのだ。

数字は1~8だが「C」や「D」は? これはシートの番号。北京五輪ではA~Dの4シートを使って試合が行われるが、準決勝は2試合。日本対スイスはシートC、英国対スウェーデンはシートAだった。日本は使用していないシートDの石も使えたため、CとD合わせて8個を使った。

98年長野五輪スキップの敦賀信人氏は「どの石を誰が投げるかは、とても重要です。忘れないように、手に書いているのでしょう」と説明した。仮に石を間違えると、狙った通りに曲がらないこともある。藤沢の右手の数字は、メダル獲得までの道しるべなのだ。

ちなみに、カーリングの石は重さ約20キロの花崗岩。五輪など国際大会では、英国スコットランドのアルサクレイグ島で切り出されたものだけが使用される。自然保護の観点から採取ができるのは20年に1度だけ。そのために高額となり、1個で10万円以上、1セット(16個)では160万円にもなる。【荻島弘一】

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