【北京29日=松本航】北京五輪はスケートなどが中心の北京、ボブスレーなどを行う延慶(北京の中心から約75キロ)、ジャンプなどが実施される張家口(同180キロ)と3つのエリアで熱戦が繰り広げられる。北京(清河駅)-張家口(太子城駅)を最高時速350キロ、約50分で結ぶのが高速鉄道だ。さっそく乗車し、その速さを体感してみた。

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347、348、349…。車内モニターに表示される速度を見ながら、居合わせた各国のメディアがスマートフォンを構えた。その一瞬を逃すまいと私も「349」でパシャリ。だが、すぐに数字は「348」に戻った。最後まで「350」の“大台”は見られなかったが、運転席の見物が好きだった幼稚園の頃以来? の高揚感があった。

東海道新幹線は最高時速285キロといわれ、そこからさらに約60キロ速い中国の高速鉄道。正直ここまでくると、素人にスピード感の違いは分からない(すみません)。車窓からは風力発電装備や山々が見渡せ、のどかな風景が大半だった。

最も驚いたのは、やはり新型コロナウイルス対策だった。清河駅で一般客の姿はガラス越しに見ることしかできず、「バブル方式」はきちんと守られていた。ホームにも一般車両との間に柵が置かれ、太子城駅到着時に至っては、五輪関係者の車両しか扉が開かなかった。同駅のエレベーターのBGMは「エリーゼのために」。コロナに対する厳戒態勢とのギャップが大きく、ふっと心が和んだ。