5度目の五輪だった渡部暁斗(33=北野建設)は、17日の団体銅メダルで複合歴代最多4つめのメダル獲得となった。18日、団体メンバーとともに会見に出席。金メダルは逃し「完全に諦め切れたとすっきり終わっていない」と悔しさも残るが、「いいレースをして、競技としてのおもしろさが伝わるのも大事な部分だったとあらためて思えたいい五輪だった」と充実感も漂わせた。

今大会をきっかけに複合人気を高めたい。ただ過去2大会で銀メダルを獲得しているからこそ「結果を出すだけではダメ」と感じている。今後について「今は考えられない」と未定だが構想はある。「SNSだったり、必要ならYouTubeなり、コンバインドのおもしろい見方を発信していって、よりおもしろく見られるようなトライをしていくのもいいのかな」と新たな挑戦を明かした。

団体戦後、メダリストが受け取るパンダの大会マスコットキャラクター「ビンドゥンドゥン」をメンバーを外れた谷地宙(21=早大)に渡した。「チームの一員として頑張ってきた彼に次に向けて頑張ってもらうという意味でも、1つ何か持って帰るのは重要かなと思うので」。日本の複合界を担う後輩へ、思いを託した瞬間だった。【保坂果那】

○…メンバー最年長38歳の永井は、初めて手にしたメダルに、一夜明けても喜びいっぱいだった。「昨日は興奮して目をつぶっても一睡もできなかった。少しずつ実感がわいている」と話した。最後と決めて臨んだ五輪。大会前の人生初のぎっくり腰など、苦しいことも多い競技人生だったが、長く続けた原動力は「パッション。熱意がなければここまでできなかった」と感慨深げだった。

○…渡部善は兄暁斗との冬季五輪日本初の兄弟メダルにも冷静だった。1走として粘ってリレーをつなげた。団体では飛躍で好結果を残せなかった暁斗の分も距離を伸ばした。兄が「みんな家族みたいな感覚」と話せば、弟も「全く関係ない」と、特別に兄弟を意識することはない。「個人戦2試合の内容を考えると団体で気合を入れないといけないと考えた。もっといい色のメダルを取れるようにならないといけない。気合入れてしっかり戦っていきたい」と力を込めていた。