スピードスケートで5種目に挑む高木美帆(27=日体大職)が世界記録を持つ本命種目、女子1500メートルで1分53秒72で銀メダルを獲得した。前回18年平昌五輪は0秒2差の銀メダル。狙った自身初の個人金メダルはならなかった。ブスト(オランダ)が1分53秒28の五輪新記録で優勝した。

今季のワールドカップ(W杯)3戦3勝とランキング1位の高木美は最終滑走。同組のゴルベワ(ROC)と競り合ってゴールした。タイムのアナウンスを聞くと、複雑な表情を見せた。

開幕前から嫌な流れはあった。開幕直前に信頼する日本代表のヨハン・デビット・ヘッドコーチが新型コロナウイルスで陽性反応が出た。間近で指導を受けられないまま迎えた初戦5日の3000メートル。会場の温度が高く、想像以上に軟らかくなった氷に戸惑った。氷が重く感じて、いつものリズムで滑れない。「氷に迷った」と意図した滑りができず6位。5位の平昌五輪から順位を1つ落とした。

中1日の本命種目を前に不安は隠せなかったが「初戦が良かったから全部が良いという保証はない。逆にだめだったから、それが続くというわけでもない」と必死に前を向いた。だが、中1日では本来の滑りを完全に取り戻すことはできなかった。

今大会は個人の金メダル獲得が最大の目標。残りは12、15日の団体追い抜き、13日の500メートル、17日の1000メートル。本命種目の金メダルこそ逃したが、悲願の金を含めた複数メダルを狙っていく。