18年平昌五輪で銀メダルだった女子1000メートルで小平奈緒(35=相沢病院)が1分15秒65の10位に終わった。先月15日、長野市内の雪道で滑り、右足首を捻挫していたことを告白。前回、500メートルの優勝を含め2つのメダルを獲得したが、今大会はメダルなしに終わった。今後の競技人生については「体に痛みのない状態で地元でもう1度滑りたい」と語るにとどめた。

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まさかの10位だった。17位だった500メートルに続き、前半からスピードに乗れない。普段の小平とは明らかに違うレースで北京の舞台は幕を閉じた。

小平はレース後、涙でケガを告白した。1月中旬に右足首を捻挫していた。「終わるまでは言えなかった」と涙声だった。「大雪の日でした」。先月15日、練習場へ向かう道路で足を滑らした。「ああ、やってしまった」。その日から1週間、氷から離れた。そしてスケート靴を履こうとしたが痛くて履けない。結局、2週間、スケートを滑らずに北京入りしていたことを明かした。

「皆さん、うすうす気付いていたかと思うんですけど、北京に来てから左ばかりでスタートしていて。右足で全く踏ん張ることができませんでした」。

「4年間が台無しになってしまった」。説明しているミックスゾーンで、涙がぽろぽろこぼれる。男子のレースを見て、逆足のスタートにも挑戦した。それでも、にわか仕込みで勝負できるほど五輪は甘くなかった。

「不格好な作品にはなってしまったけど、自分なりの、今を乗り越える滑りはできたのかな。奇跡を望んでいたけど、五輪って、そういう舞台じゃないですよね」と言った。

自身が流した涙について「痛みや、やるせなさが出てしまった」と笑い、「高木選手が金メダルを取ったので、いい記事が書けますね」と後輩の優勝を祝福した。

今後の競技人生についても質問が出た。「そのあたりも所属先とかスポンサーの皆さんと相談したい」と返した上で続けた。「もう1度、地元で体に痛みがない状態で、ノビノビと滑れたらいいなあっていう未来像は描いています」と答えた。【三須一紀】