【ミラノ=藤塚大輔、木下淳】ショートプログラム(SP)3位の世界女王アリサ・リュウ(20=米国)が、逆転で金メダルを獲得した。フリー1位の150・20点をたたき出し、合計226・79点。ここまでフィギュアの個人種目で金がなかった米国の救世主となった。笑顔がトレードマークの女王は「ずっと楽しかったです」とほほ笑んだ。

今大会は8日まで行われた団体でも金メダルに貢献。米女子では初の2冠達成となり「チーム種目は本当に楽しかった」とにっこり。さらに「オリンピックが終わったと言いたくない。だって終わってないんです。まだガラ(エキシビション)があるから。もう1つ種目があったらいいのに。もっと滑りたいわ」と、まだまだ五輪を楽しみたい様子だった。

前回22年の北京五輪では6位入賞。翌月の世界選手権では銅メダルに輝いた。ところが一転、まさかの16歳にして電撃引退を表明。「スケート以外のことがしたい」とエベレストを登山したり、進学したカリフォルニア大ロサンゼルス校で心理学を学んだりした。

スケート靴は1年半にわたってクローゼットの奥にしまい、競技も全く見ていなかったという。

その中で24年1月に、ふと思い立った。「スケートって、どんなものだったっけ?」。軽い気持ちでリンクへ戻り、20分ほどウオーミングアップした後にいきなり3回転サルコーを着氷。3カ月後には全5種類の3回転を降り、復帰を決断した。そこから2年弱で五輪女王に駆け上がった。

今大会も自由奔放。SP首位の中井亜美(TOKIOインカラミ)を2・12点差で追ったが「メダル? そんなものいらない。この瞬間を大切にしたい」と無欲を貫いた。米女子では02年ソルトレークシティー大会のサラ・ヒューズ以来8人目の金メダルを射程圏に捉えても「順位がどうであれ、私の滑りが変わるわけではない」と自然体でフリーに臨んでいた。

◆アリサ・リュウ 2005年8月8日、米カリフォルニア州生まれ。5歳で地元カリフォルニア州オークランドでスケートを始める。全米選手権を13歳で制して「天才少女」と呼ばれる。女子で初めて4回転ジャンプ(ルッツ)とトリプルアクセル(3回転半)を同時成功させた。22年北京五輪で6位、同年世界選手権で銅メダル。直後に現役引退を発表して、スケートから離れる。24-25年シーズンの昨季に現役復帰した。25年世界選手権で優勝。中国から移民した父を持ち、中国語を話せる。5人きょうだいの長女。趣味はダンス、TVゲーム。身長158センチ。

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