女子200メートル自由形(視覚障害S13)で辻内彩野(22=OSSO南砂)が2分17秒27のアジア新記録で優勝した。

今年9月のジャパンパラ大会(横浜)で自らマークした2分22秒84を5秒以上短縮し、2分10秒台に到達。前日1日には100メートル平泳ぎで日本新をマークしており、連日の記録更新で18年を締めくくった。

辻内は屈託のない笑顔で言った。「私、いつも9、10月は調子が悪いんです。アジアパラでも狙っていたタイムが出なかったし。この大会は旅行気分で参加したのがよかったのかなぁ」。ジャカルタ・アジアパラ大会では個人6種目で4つの銅メダルを獲得したが、自分の泳ぎができずにプールサイドで涙に暮れた。その悔しさを晴らすような連日のパフォーマンスだった。

前半は抑え気味に入り、後半にピッチを上げる力強い泳ぎ。200メートル自由形は20年東京パラリンピックの種目にはないが、普段は300メートルを全力で泳ぐ練習を積んでいる。スピードとスタミナを並行して養えるメニューは、東京でメダルを狙う50、400メートル自由形の強化にもプラスになる。今後も200メートル自由形には挑戦を続けるつもりで「あと10秒は縮めたいです」と、世界記録の更新にも意欲的だ。

高校生までは健常者の大会に出場しており、全国大会の経験もある。故障などもあって一時プールを離れたが、17年にパラの選手としてカムバックし、今年から国際舞台で活躍している。8月のパンパシフィック大会(オーストラリア)でも銀3、銅1、リレーで金と5つのメダルを首にかけた。

了徳寺大の整復医療・トレーナー学科に学ぶ女子大生スイマーの口癖は「東京でメダルを取る。それが地元への恩返しになるから」。江戸川区で生まれ育った22歳が20年へピッチを上げる。【小堀泰男】