男子競泳で東京パラリンピック代表に内定している木村敬一(30=東京ガス)が、大会開催を信じ、悲願の金メダル獲得にかける思いを語った。8月24日の開幕まで200日になった5日、東京都内でWOWOWのパラアスリート・ドキュメンタリー番組「WHO I AM」のライブ配信イベントに出席。松岡修造氏(53)、五輪競泳メダリストの松田丈志氏(36)、女優の高橋ひかる(19)らとのトークショーに参加した。

「開催が危ぶまれていることは承知している。このまま感染拡大が収まらないのであれば、やるべきではないと思う。ただ、僕たち選手が開催を信じなければ、それ以上信じる人はいない。選手たちはパラリンピックに出たい、メダルを取りたい、金メダリストになりたいという、できるかどうか分からないことを信じて人生を送ってきたわけですから、やれるか分からない、でも、やれるかもしれないと信じることぐらいはしてもいいんじゃないかと思う」

木村はイベント後、オンラインで取材に応じ、新型コロナウイルス禍で開催に否定的な見解も増えている東京大会について率直な心境を明かした。その上で選手として感染を広げないという強い意志を持ってトレーニングを続け、大会に備えることを誓った。

08年北京、12年ロンドン、16年リオデジャネイロと3大会連続出場でメダルは銀3、銅3。東京では100メートルバタフライを中心に複数種目で金メダル獲得に挑む。

「選手として出場できる喜びをかみしめつつ、金メダルを取って最高の結果を残したい。それが自分の国で行われるということはすごく誇り高いことで、大会に花を添えたい」

イベントには競泳でパラ3大会を通じて金14を含む計24個のメダルを獲得しているダニエル・ディアス(32=ブラジル)、リオ大会カヌー金メダルのカーティス・マグラス(32=オーストラリア)もオンラインで参加した。

「彼らは東京に来ることを楽しみにしているし、東京という街に一定の評価をしてくれている。僕は選手であると同時に、1人の日本人として彼らに東京の街、日本という国を楽しんでいってほしいし、思い出に残る最高のパラリンピックにしてほしい。自分自身、成果を上げて日本人が大会を楽しんで盛り上がっている空気感をつくりたい」

日本パラ競泳界のエースの東京大会への思い、期待が熱を帯びたコメントにこめられていた。

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