大野将平(24=旭化成)が日本男子柔道に2大会ぶりの金メダルをもたらした。ルスタム・オルジョイ(アゼルバイジャン)に一本勝ちした。今大会の日本柔道チーム初の金となった。この日まで行われた6階級全てでメダルを獲得した。

 1分44秒に内股で技ありを奪って先手を取った。激しくなった相手の攻めを冷静にさばき、技を出し続けた。最後は3分15秒、小内巻き込みで美しい一本を奪った。

 勝敗が決まった後も笑顔より先にホッとしたした表情が出た。畳を降りるとようやくわずかに笑みが出た。「うれしいです。内容的に満足できるものではなかったですけど、柔道という競技の素晴らしさ、強さ、美しさを見ているみなさんに伝えられたんじゃないかなと思います。(ホッとした表情は)プレッシャーが大きかったので。金を取って当たり前という声も聞こえてきたので、当たり前のことを当たり前にやる難しさを感じました。冷静にできたかなと思います。(五輪は)独特な雰囲気がありますが、ほかの国際大会と違わないし、気持ちの持ちようだと思います。明日も旭化成の後輩の永瀬がやってくれると信じているので、いいバトンパスができたんじゃないかと思います。

 表彰式では照れもあるのか笑顔は見せなかったが、金メダル授与で名前がコールされるとようやく笑顔が出た。柔道会場では初の君が代では胸の日の丸に手を当てて口ずさんだ。記念撮影でも最初は硬い表情だったが、回数を重ねるごとにテレが消えたのか笑顔になった。

 セレモニーを終え「(金メダルは)重みがありますね。やっと安心して実感が湧いてきました。(最低でも金という言葉があったが)最高ですね。内容は反省するべき点もありました。もっと強くなっていきたいです」とメダルの実感を口にした。入場時に目を拭っていたことを聞かれると「井上(康生)監督と会って涙が出ました」と正直に話した。最後は「まずはゆっくり休むこと。そして金メダルにふさわしい人間に成長していかないと。まだどうなるか分かりませんが、20年に日本で東京オリンピックがあるので、目指していかないといけないなと思います」と早くも次の目標を掲げた。