体操の全日本選手権兼全日本種目別選手権が10日に群馬・高崎アリーナで開幕した。男子で五輪個人総合2連覇の内村航平(31=リンガーハット)は種目別鉄棒に絞り、今年3戦目を迎える。11日の予選を前にした公式練習では、宮地秀享(26=茗渓クラブ)と動画を見ながら意見交換した。

自らの名前がつく超大技のI難度「ミヤチ(伸身コバチ2回ひねり)」を操るスペシャリスト。2人は東京五輪の代表を争う関係だが、試合前の会見では「鉄棒という競技を2人で高め合っていける存在」(内村)、「どっちかが欠けると試合の緊張感が足りなくなる。2人で上がっていきたい」(宮地)と呼応した。

「お互いにしか出せない味がある」とキングは言う。「あっちは力強い豪快な離れ技が得意ですけど、僕はスッキリした感じ」。足先がそろうなどの美しさが武器。互いの特徴が異なり、技術が相手のヒントになることもある。それを隠さない。今夏に内村が種目を絞る決断をしてから関係が深まり、刺激し合う。

来夏の五輪は、種目別で同時に出場する可能性は極めて低い。ただ、ともに目指すところは金メダル。ライバルという言葉でくくれない鉄棒を巡る2人の競争が、ここからさらに加速していく。【阿部健吾】