東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)が9日、日刊スポーツなどのインタビューに応じた。

新型コロナウイルス禍の中で国民の安心安全を担保しながら開催するには「あらゆる想定が必要」だとし、大会中に大規模なクラスターが発生する最悪の場合を見据え、大会を中断する基準を今後、議論して定めておくべきとの考えを示した。

一方で最悪のケースにならないよう「あらゆる想定」の中で、全ての種目でメダル授与が成立するように、大会期間の中で競技日程を延長するような柔軟な対応も検討する必要があるとした。

現在、選手や関係者には4~5日に1回義務づける予定のPCR、抗原検査をコロナ対策の強化策として「回数を増やす検討もしないといけない」と語った。

東京大会の開催実現を通じて「日本を課題解決先進国として世界に発信したい」との思いも語った。「コロナがゼロになるまで何もしないのでは何の課題の解決にもならない。あらゆる対策を講じて、大会をやり遂げることが、1つのレガシーになる」と話した。併せて「決して無理矢理に大会を開催するという意味ではない」と語った。

その上で、大会の中止は基本的に想定せず「あらゆる対策を講じて開催することが、私の役目」と決意を述べた。無観客については想定しつつも、できれば国内の他のスポーツ同様に、観客を入れた開催を目指したい考えを示した。

政府などは海外から来る観客を見送る方向で調整中だがその場合、選手団や大会スタッフに入っていない選手の家族が入国することは「難しい」と述べた。ただ、元アスリートという立場から「心苦しい」と申し訳なさそうに言った。

開会式の入場行進の参加者については、選手村の入退村日の規制を踏まえ、当初の1万人規模から3分の1程度に自然減すると予想。コロナ対策の強化として、さらに各国の割当枠を規制する可能性も示した。【三須一紀】