東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会が、五輪開幕50日前となる3日に大会の表彰式アイテム(表彰台、衣装、メダルトレイ、音楽)発表会を東京・有明アリーナで行った。

東京大会では五輪が339回、パラリンピックが539回の計878回、表彰式(ビクトリーセレモニー)が行われる。表彰台のデザインは大会エンブレム制作者の美術家、野老朝雄氏(52)が手掛けた。

五輪・パラリンピックともに高さ120センチ×幅120センチ×奥行き120センチのユニットを組み合わせて使用する。五輪は4ユニットで1セットで計98セットが作られた。パラリンピックは3ユニットを組み合わせ、表彰台に上がるスロープの設置や車いすタイプ(段差なし)が用意された。

表彰台は市民参画型「みんなの表彰台プロジェクト」によって、史上初となるリサイクルプラスチックで作られた。プロジェクトは19年6月にスタート。アリエールなど、世界最大の日用品メーカーP&G社の使用済みプラスチック容器を再利用し、表彰台の材料とした。全国2000店舗のスーパーマーケットやドラッグストア、学校113校と企業・団体から計24・5トンの素材が集まった。

デザインには、慶大・田中浩也教授のサポートによる最先端の3Dプリント技術も活用され、プラスチック加工や独自の3Dプリンター開発には日本高い技術力が結集された。

シンボル(ファイブ・リングス、スリー・アギトス)素材は、東日本大震災の被災地に建てられた仮設住宅のアルミ廃材を再利用。プラスチック素材に関しては、100%リサイクル素材を使用(強度の関係で骨組み部分は木材を使用)した。2年前の計画発表では骨組みも仮設住宅のアルミ廃材を再利用する案も示されたが、1ユニットの総重量を50キロ以下にするため木材に変更となった。

お披露目された表彰台の前で、野老氏は「エンブレムとと同じく『つながる』ということが前提にあります。ピースがつながり合ってアスリートの皆さんの台になる。アスリートの方々が立って初めて完成すると思っております。今回は現代の技術として3Dプリンターも活用されました。次の世代につながる技術だと思っています。素材は我々の生活から出たプラスチック。ともすればゴミになってしまうものが、研究によって人が乗っても大丈夫になっている。技術の塊。次の世代に、つながってほしい。支える場所をつくれてうれしいですし、子、孫たちとつながるバトンになればうれしい」と、込めた思いを紹介した。【木下淳】