日本オリンピック委員会(JOC)が、東京五輪日本選手団の主将として、陸上男子の山県亮太(29=セイコー)にオファーを出したことが26日、分かった。山県は9秒95の男子100メートル日本記録保持者で25日に代表が内定した。今大会から設定された副主将は、卓球女子の石川佳純(28=全農)で調整している。主将、副主将は開催国の代表として、7月23日の開会式で選手宣誓を行う方向。山県はこの日、大阪市内のホテルで日本新記録達成報告会を行った。

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JOCが、日本選手団の主将として、山県に白羽の矢を立てた。山県の代表内定から一夜明けてオファーを出したことが、複数関係者への取材で分かった。

山県は25日の日本選手権男子100メートルで3位に入って、3大会連続となる五輪代表に内定。五輪本番では、1932年ロサンゼルス大会以来89年ぶりとなる日本勢の同種目決勝進出を目標に掲げている。16年リオデジャネイロ五輪では400メートルリレーで銀メダルを獲得。五輪の花形種目として注目される男子100メートル日本記録保持者だ。

山県は13年ユニバーシアード大会、18年ジャカルタ・アジア大会で日本選手団主将を2度務めた。競技と真剣に向き合い、けがや挫折を乗り越えて日本記録9秒95を出した姿は、JOCが掲げる「人間力なくして競技力向上なし」(橋本聖子)の指針にも合致する。競技日程は、男子100メートル予選が7月31日と負担が少ない。ただ3度目の五輪に注力する山県の考えは、しっかりと尊重する方針だ。

また今大会から副主将を設定した。主将、副主将は男女1人ずつを選ぶ。その副主将は石川で調整している。石川は女子団体で12年ロンドン大会銀、16年リオデジャネイロ大会銅と2大会連続メダルを獲得。日本女子の代表的なアスリートといえる。競技日程も、世界ランク上位の石川はシードされて女子シングルス3回戦から登場予定。開会式から、中2日の7月26日が五輪初戦になる。

主将、副将は開催国ならではの大役も担う。開会式の男子旗手は、バスケットボール男子の八村塁(23=ウィザーズ)で調整しているが、関係者は「選手宣誓は、主将と副主将がやる方向です。別の人が宣誓することはないでしょう」としている。調整は最終段階を迎えており、7月6日の日本選手団結団式までに主将、副主将、男女旗手の4人がそろう。

◆山県亮太(やまがた・りょうた)1992年(平4)6月10日、広島市生まれ。修道中、高から慶大をへて15年にセイコー入社。16年リオデジャネイロ五輪は、100メートルで2大会連続となる準決勝進出。400メートルリレーは第1走者で銀メダルに貢献。18年ジャカルタ・アジア大会では10秒00の銅メダル。今年6月6日に日本人4人目の9秒台を、日本新記録の9秒95で達成した。177センチ。

◆石川佳純(いしかわ・かすみ)1993年(平5)2月23日生まれ、山口市出身。両親ともに卓球選手で、平川小1年で競技を開始。07年全日本選手権で13歳11カ月の史上最年少ベスト4。11年には高校生として22大会ぶり全日本初優勝。12年ロンドン五輪シングルス4位、団体銀メダル。16年リオ五輪は団体銅。14、16、18年世界選手権団体銀。158センチ。