スノーボードの冬季オリンピック(五輪)2大会連続銀メダリストの平野歩夢(22=木下グループ)が、スケートボード・パークでの東京五輪出場を確実にした。夏冬五輪出場は日本男子として史上2人目で、男女としては東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長らを含め5人目の快挙となる。

五輪予選の最終戦に当たる「デュー・ツアー」に出場した平野は64・08点で26位と予選敗退したが、日本人男子のライバル永原と笹岡も相次いで予選落ち。平野の五輪予選ランキングが日本勢最上位を維持することが決まり、開催国に1枠与えられる出場権を獲得することになった。

「二刀流」挑戦を表明したのは2018年11月。平昌冬季五輪を終え、4歳の頃から慣れ親しんできたスケートボードで今度は東京五輪出場を目指すことを宣言した。「五輪の正式種目になったのでスルーするわけにはいかない」と力強く語り、新潟・村上市にある実家のスケートパークや、在籍する日大のスケートボード場で練習に打ち込んできた。

スノーボードで磨いたエアの高さと空中感覚の良さを、スケートボードでも発揮した。19年3月には「パーク」日本オープンに出場。小学校低学年以来となるスケートボード大会だったが、高さのある安定したトリックを披露して3位。同年5月には地元の新潟・村上市で行われた日本選手権で初の日本一を獲得。東京五輪に直結する強化指定選手入りを引き寄せた。コロナ前の世界選手権でも準決勝入りを果たすなど国際大会でも好成績を残した。

新型コロナウイルスの影響で五輪1年延期となっても、東京へ向かう気持ちは変わらなかった。

今年4月にスノーボードの全日本選手権ハーフパイプに出場した。その際に22年北京冬季まで1年を切る中で本職との両立することへの難しさを感じながら、「この両立を目指しているきっかけは、自分しかたどれない道に進んでいきたいから」と説明し、さらに「何とかそこも目指していきたい気持ちは変わらない」と胸を張った。

今夏の東京五輪、半年後に行われる冬の北京へ。「二刀流」平野が、同一年度に世界最高峰の2つの五輪に出場するというかつてない挑戦に挑む。

◆平野歩夢(ひらの・あゆむ)1998年(平10)11月29日、新潟県村上市生まれ。冬季五輪2大会連続銀メダリスト。4歳でスケートボードとスノーボードを始める。村上一中から開志国際高を経て、現在は日大スポーツ科学部4年。卒業研究に考えているテーマは、スノーボードとスケートボードそれぞれの高度なエアー技術を対象に、うまくできた時とできなかった時を運動学的観点から、運動イメージと実際の動作の比較・照合により検証すること。家族は両親と兄、弟。160センチ、50キロ。

◆東京五輪スケートボード種目 「ストリート」と「パーク」の2種目。ストリートは斜面や階段、手すりを模したコースを使用。パークはコンビプールと呼ばれるお椀を組み合わせたようなコースで争う。両種目ともトリック(技)の難度、スピード、構成、独創性などを競う採点競技。ジャンプやスライド技の多いストリートに対し、パークは回転技が多い。

◆夏冬両五輪に出た日本選手 過去に女子3人、男子1人計4人。スピードスケート女子で84年サラエボ大会から4大会連続出場し、92年アルベールビル大会1500メートル銅メダリストの橋本聖子は、夏季の88年ソウル大会から3大会連続で自転車の代表に選出。関ナツエと大菅小百合も冬季はスピードスケート、夏季は自転車の代表。男子は88年ソウル、92年バルセロナ大会に出場した陸上短距離の青戸慎司が、冬季の98年長野大会ボブスレー4人乗りに出場した。しかし夏冬両方の五輪でメダルを獲得した選手はいない。